キキョウの花。
青い色がなんとも涼しげだ。
この前、赤城自然園に行ったときにキキョウが群生していて見ごたえがあった。
そもそも何故花が咲くかといえば、
「雄しべにある花粉を雌しべに渡して、受粉させ、受精させ、タネをつくるため」
すなわち子孫を残すためである。
雄しべの花粉を雌しべに・・・とはいっても、彼らは自ら動いて花粉を渡すなんてことはできないので、花粉の橋渡しを誰かに頼っている。
虫に頼る場合その花を虫媒花といい、風に頼る場合を風媒花という。
虫媒花の場合は、ハチが大活躍するが、その他にもチョウ、アリ、甲虫、ガなどが花粉の運び屋となる。
このキキョウにはチョウがとまっていた。
なるほどなるほど、花粉を虫たちに運んでもらっているのね。
ちょっと待って、そこで満足してはいけない。
もう一歩踏み込んで考えてみようではないか。
生きとし生けるもの、その子孫を残すということは本能である。
しかし子孫を残せればなんでも良いのか?
そうではないはず。
せっかく残す子孫は強く、そして優れていなければその後の生存競争に勝ち残れない。
その場合は同族同士で交わっていたのでは優れた遺伝子は残らない。
なるべく他の強い遺伝子と交わりたいのだ。
花のなかには、雄しべと雌しべがあるが、それら同士がくっついていたのでは、内々で交わっていることになって優れた遺伝子は残りにくい。
それを自家受粉というが、植物たちはなるべく自家受粉を避けるべく様々な工夫をしている。
そのひとつがキキョウがやっている賢い工夫なのだ。
それが何かというと・・・
キキョウは雄しべがまず先に成熟する。
雄しべが花粉を作りだして役割をほぼ終えた頃に、ようやく雌しべが熟すようになっている。
雄しべと雌しべの熟す時期が違えば、同じ花の中で自家受粉するリスクが格段に下がる。
その証拠をお見せしよう。
花の中心部を見てほしい。
まず雄しべが熟していて、花粉を付けてる。
ひとしきり花粉を生産して役割を終えた頃、満を持して雌しべが熟す。
雌しべの先端が5つに避けているでしょ。
これが雌しべが熟したというサイン。
この先にネバネバの粘液が出ていて、花粉を無駄なくキャッチできるようになっているのだ。
どうです、知ってました?
なんとも賢い工夫だと思いませんか??
キキョウの場合は雄しべが先に熟すると決まっている。
レディファーストならぬジェンツファーストとも言える。
そうやってみると、上のチョウがとまっているキキョウは雌しべが熟しているのが分かる。
ああ、キキョウが咲いているといって通過するのも悪くない。
でもちょと立ち止まって、花をグッと近くで見るとさらに楽しめるよ。
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