昨日は雨の下北沢にいた。
僕は3歳ころから30歳過ぎくらいまでこの近くに暮していた。
下北沢は遊びに、買い物に、食事にとちょくちょく出かけ、とても愛着のある町だった。
下北沢の面白さは、こじんまりとした種種雑多な店が軒を連ねていることだと思う。
最近は小田急線の複々線化、高架もしくは地下化にともなう取組みによって小田急沿線の駅の様子は劇的に変わってしまった。
下北沢はとくにその変貌の幅が大きいのではないかと思う。
そしてまだ建設途中で、用地買収も完全ではないように見受けられる。
僕が好きだった場所のひとつが駅の北口を降りてすぐの雑多なヤミ市的なこじんまりとした商店街。
ここは狭い通りに色んな店がひしめいていた。
乾物、生鮮食料などはもちろんだが、なんといっても洋服屋さんと靴屋さんが良かった。
今から30年近く前の話なので、世の中にはアメカジなるものが流行っていて、この商店街にドンピシャのラインアップを誇る店がいくつかあったのだ。
バスやコールハンのローファー、トップサイダーのデッキシューズ、スタンスミス、レッドウィング、そしてLLビーンなど。
そうそう、このページの下に載せてある人気ブログランキングのアイコンのビーンブーツもここで買ったものだ。
ソールは交換したけど、いまだに現役ってのもスゴイ。
洋服屋さんでは気の利いたティーシャツ、トレーナー、アウタージャケット、ワークパンツなどがあった。
ここをグルッと一周するだけで胸が高鳴ったものだった。
そんな愛すべき懐かしい下北沢に久し振りに出掛けたのだ。
夜に下北沢で予定があったので、せっかくの機会なので夕方から出掛けて散策したというわけだ。
しかし、しばらく歩いて感じたのは
「ぼくの知っているシモキタではない・・・」
という悲しい現実。
当たり前なんだけど、前あったはずの店がなくなっていて、新しい店になっているところが多い。
もちろんそんな新しい店には愛着もわかない。
例えばカウボーイというステーキハンバーグの店もなくなっていた。
シチューの店伊万里もなくなっていた。
ジャズ喫茶マサコもなくなっていた。
かに由という角のカニ料理屋さんは中学時代の同級生の家だったが、現在解体中だった。
一方、ミスタードーナッツ、餃子の王将、ジーンズメイト、ザック(喫茶店)、シェ・リュイ(パン屋)などは昔のままだった。
前述の駅前の雑多な商店街も昨日見た限りでは角に一軒だけ、アメリカ屋という洋服屋さんのみ細々とやっていた。
おじさんんもかなり老けてしまったが、当時のおじさんに違いなかった。
本田劇場もあるにはあるが、テナントも大きく変わってしまって様子が違う。
そんなことを嘆いていてもはじまらないのだけど、一抹の虚無感は禁じえなかった。
雨の中ひととおり歩いて、待ち合わせ時間まで余裕があったので、昔よく通った喫茶店にいってコーヒーを飲むことにした。
トロワシャンブルというお店で、階段を上がっていくとまだその店はあった。
雰囲気はそのままだった。
なんとなくホッとして濃いコーヒーをいただいた。
店の壁はタバコの煙のヤニなんだか、他の理由で経年変化しているのか茶色くなっている。
静かに流れるジャズ。
そうそう、ジャズなんてあんまり知らなかったころに、たまたまこの店にきて、
「コーヒーとかジャズとかってカッコ良いじゃない」
などと思って、近所にあった貸レコード屋「黎紅堂」でソニーロリンズやビルエヴァンスなんかを借りて帰り、押入れにしまってあった父親がゴルフの景品でもらってきたサイフォンコーヒーセットなんかをひっぱり出してでコーヒーをいれたことを思いだした。
町が変わってしまったのは残念だけど、僕自身年をとったということでもある。
なんともフクザツな気持ちにさせられる下北沢散策でありました。
2 件のコメント:
私も昔、よくトレーナーやTシャツ、雑貨・文房具を買いに行ってました。
北口市場のごちゃごちゃした感じ、好きだったな~。
初めてバイトした店も「珈琲美学」っていう喫茶店でした。
懐かし~!!
どこの駅前とも同じようになってしまっては、下北っぽくなくなっちゃうのにね。
残念だわ。
mihomihoさん
コメント有難うございます。
そうでしたね、シモキタはお近くでしたね。
最近の小田急沿線の駅の変貌振りにはホント驚かされます。
隔世の感がありますね。
コメントを投稿