藤棚というフジ専用の棚があって、そこから房状の花がぶら下がる様子はなんとも優美である。
盆栽としてのフジだってちゃんとフジの花を咲かせ、それはそれなりに雅なカンジである。
そんな気品高いフジだが、実は恐ろしい一面を持っている。
昨日のミントの話のような展開だが、チトちがう。
フジはマメ科の植物で、他のマメ科の植物同様つる性という性質を持っている。
スイートピーをイメージすると分かるでしょ。
マメ科の多くは「巻きひげ」を持って何かに絡みつく。
ところがフジは茎全体が何かに絡みつくスタイルをとっている。
例えるならアサガオね。
アサガオは草本といって、草のように柔らかく一年でその一生を終える。
多年草であっても冬の間は一旦地上部が枯れて春にまた新たに芽吹くということになっている。
ところがフジは木本といって、秋に葉が落ちても地上部から上が冬でも枯れることがなく年々生長を続けていく。
なので茎といって緑色で柔らかかったところが、数年には木化といって茶色くて固い木に変わってしまう。
そんな特徴を踏まえて今日の写真を見ていただきたい。
大きな木にヘビのように絡み付いているのはフジだと思われる。
フジは何も庭園の藤棚に上品にあるものだけではなくて、山のなかでも野生化したフジがある。
何年も前には絡みついたフジも、絡みつかれた木もまだ若かったのだと思う。
ところが何年もかけてお互いが生長するにつれ、フジが絡んで木化したサイズよりも、絡みつかれたほうが大きくなろうとした。
でもフジだって木化してしまっていて今さら、絡んだ木のために伸びることなんてできない。
結果このようにフジがガッチリと木に食い込んでしまって、今や一体化してしまっている。
よく街路樹のプラタナスがガードレールに食い込むというのは見掛けるが、これはその比ではない。
こうなると 「締め上げてやる!!」 というような鬼気迫る怖い雰囲気すら醸しているように見える。
最終的にこの木がフジを完全に覆って生長を続けて言った場合。
何十年か経ってこの木が倒れたとして、それをチェーンソーなんかで刻んで片付けようとしたら
「木の中から別の木がでてくる」
という不思議な現象が起きるかもしれない。
食い込み方がタダモノではないフジを見ていてフトそんなことを思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿