梅の札
散歩をしていて、とあるお宅の玄関脇の壁に寄りかかるように育っている細いウメの木を見かけた。
ウメの木の足元はアスファルトにほぼ覆われ、少ない土を雑草と奪い合っている。
幹は湾曲し、とても細い。
その細い幹を支えるかのように一本のつっかえ棒が踏ん張っていた。
普通ならば フーン といって通り過ぎるところなのだろうが、込み入った枝の奥に何か光るものを見つけた。
それは何かの札のようで、何かが細かい文字で書いてあった。
なんだろう?
立ち止まって奥を覗き込んだ。
札には
おかげさま 今年もひらく 梅の花
と書いてあった。
俳句である。
さらにはもうひとつの札があって、
春は来る 必ず来ると 梅ひらく
とあった。
おそらくこの家に住んでいる方がぶら下げたものであろうが、こうやって一生懸命頑張っている梅を見て春を詠んだその気持ちはなんとなく花咲ジジイにもジワーンと伝わってきた。
人間も植物も健康な状態に常にいるとは限らないが、それでも一生懸命生きる様は、それこそ一句捻りたくもなるものなのだろう。
2 件のコメント:
この家の人の優しさが伝わります。
春になって花が咲いたらまた違う俳句が付いていそう、嬉しい感謝の句が。
匿名さん
コメント有難うございます。
俳句も優しかったですが、書かれていた文字も何やら「優しさビーム」が出ていました。
街中がこういった優しさで溢れていたら、イヤな事件も起こらない気がしますね。
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