というわけで、たったひとつの珍しい花がちょっとした社会現象にまでなるという昨日のお話。
そんなに騒がれるショクダイオオコンニャクってどんな花?
そのあたりを今日は解説しよう。
ショクダイオオコンニャク Amorphopallus titanum はサトイモ科の植物である。
毎年、大きな葉っぱを一枚だけ出して、光合成を行って地中の球茎に栄養を溜め込む。
そしてその球茎が成長して大きくなって ここだ!! という時期がくるとシュルルルっと伸びて花を咲かせるのである。
一見、花のように見える直径80センチはあろうかというものは 仏炎苞 といって葉っぱが変化したもので花びらではない。
この辺の理屈は マムシソウ Arisaema serratum やミズバショウ Lysichiton camtschatcense と同じである。因みにマムシソウもミズバショウも、そしてショクダイオオコンニャクもすべてサトイモ科である。
花はこの仏炎苞の内側にある。
小さな花が密生しているのだ。
ショクダイオオコンニャクは仏炎苞の直径が80センチ、高さが160センチにもなる巨大な花であるにも係らず、ひとつひとつの花は小さいため、単体の花としてみた場合、世界で一番大きい花はラフレシア Rafflesia amoldii ということになる。
花咲ブログを振り返ってみたら、2009年3月3日にコンニャクについて書いてあって、そこで 「驚くべき植物へと繋がっていく・・・」 ともったいぶって書いているが、どうやらそのときは肝心の写真が見つからなかったようである。
花咲ブログは花咲ジジイの撮りおろし写真を前提としているため自分の撮った写真でなければならないのである。
確かどこかにあったはず・・・・
必死に探したらばあった、ありました。
これは英国の王立植物園キューガーデンで見たものだ。
残念ながら花が咲くか咲かないかといった状態の写真で、咲いたときの写真はない。
キューガーデンというのもスゴイ植物園で、これだけ珍しい花と言いつつもバックヤードには沢山これを育てていて、花が咲くのはそれほど珍しくなかった気がする。
加えて咲くのは夜ということもあって 「眠くて起きてられん」 などと言って、実は咲いた場所に居合わせたことがないので、肝心の花の写真もないし、花の香り(ニオイ)を嗅ぐこともしたことがなかった。
今考えると実にもったいないことをした。
そう、花は花粉を媒介する虫を引きつけつけるために香りを発するのだが、このショクダイオオコンニャクはハエや小さな甲虫にそれを託すため、彼らが好む腐敗臭を発するのだという。
そしてうまく受粉、受精がなされると、数ヶ月後には実をつける。
小石川植物園の邑田仁園長によれば 「もし実がなれば日本初なので期待しています」 とのことなので、まだ日本では実をつけた例がないのだろう。
しかし花咲ジジイは実を実際に見て写真に収めたノダ。
とくとご覧あれ。
どうです、オレンジ→赤のグラデーションが美しいでしょ。
あんなキテレツな花からこんなに美しい実をつけるなんて植物って本当に不思議だ。
医学の世界では、世界の注目を浴びるような難しい手術をすると、その大学病院の権威が増すというか、そんなことがあるようだ(漫画:ブラックジャックから得た情報)。
植物の世界にも、珍しい、あるいは育てるのが難しい植物を育て、花を咲かせ、種を採取するまでを成し遂げるとその植物園の権威が増すという面があるのかもしれない。
小石川植物園は間違いなく日本国内では1、2を争う権威ある植物園であるとは思うので気合もかなりのものだろう。
リンクしておいたので見ていただきたい。
ページの右上の小さな花のマークがそれだ。
そしてショクダイオオコンニャクに関して記述のあるページがあったのでご参考までに。
ドイツ語なので良く分からないけど、少なくとも図をみるとその生態が分かる。
a 一年に一枚だけ育つ葉っぱ(これで一枚なのだ)
b 葉は一旦枯れて地中の球茎に栄養が溜まる
c 時期がくると芽が伸びて
d 花を咲かせる
ってなことが書いてあるのだろう、たぶん。
実の写真も載っているゾ。
球茎はいわゆるコンニャクイモと同じ仕組みと外観であると思われる。
昨年3月3日の花咲ブログでコンニャクイモの写真を公開しているのでご覧いただきたい。
ついつい力が入って長いブログになってしまった。
小石川植物園のHPによると、今日(25日)はすでに花のピークは過ぎて、花は閉じ、ニオイもなくなったそうである。
それでも朝の7時からチケットを販売し、多くの来園者を想定してるらしい。
珍植物の吸引力たるや絶大である。
2 件のコメント:
こんな実がなるんですかw
芋だから根っこを食べるもんだと思うが、実はどんな味なんでしょうね..
なんでも食べようとしないように・・・・
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