実は街は植物で溢れている。彼らは色、カタチ、ニオイなどで「ここにいるよぉ」と静かなるメッセージを出している。そこには時として胸を打つドラマがあったりもする。そんなやもすると見過ごしてしまいそうな愛すべき彼らにあまり肩肘張らずにゆる~いカンジでスポットライトを当てる。日々の「あれ何だろう?」という好奇心に素直に向き合うブログ。
2012年10月14日日曜日
季節外れの牡丹の話
今日は毎月開催している西武コミュニティカレッジでの
「実践、楽しく身につく園芸英語」
のあと、まっすぐ赤坂に向かった。
今日は赤坂ACTシアターで坂東玉三郎さん主演の
「ふるあめりかに袖はぬらさじ」を観に行ったのだった。
有吉佐和子原作の戯曲。
休憩をはさんで堂々の3時間越えではあったが、その世界にどんどん引き込まれてしまった。
それは玉三郎さんの演技力に他ならず、「お園」という芸者の人間味あふれる魅力にスッカリ魅せられてしまったから。
というわけで、久しぶりに仕事と関係のない有意義な時間を過ごしてリフレッシュできた。
玉三郎さんは今や人間国宝ともなり、歌舞伎界では押しも押されぬトップスターであるが、実は玉三郎さんに直接お目に掛かって「名刺交換」をしたことがある。
2009年にシネマ歌舞伎ということで、玉三郎さんの「牡丹亭」が東銀座の松竹劇場で上映された。
その初日には玉三郎さんの舞台挨拶があった。
舞台挨拶では、「牡丹亭」にちなんで立派な鉢植えのボタンが置かれた。
このボタンは数日前には劇場に到着していたが、舞台挨拶のその日まで誰か面倒をみてもらえないか、ということで、巡り巡って僕のところに話がやってきた。
淡々と手入れをして、舞台挨拶を会場の後方から見て、後片付けをしていたらば、スタッフの方が近寄ってきてこんなことを言った。
「玉三郎さんが、ボタンのことについて聞きたいと言っているんですがお話いただけますか?」
コトの大きさが良くつかめないまま、「ハイ・・」と返事をして案内された部屋に向かった。
そこに玉三郎さんがいた。
「初めまして・・・」といって僕は自分の名刺を差し出した。
すると玉三郎さんも「初めまして」と言って名刺をくださった。
白い名刺には「坂東玉三郎」とだけ書いてあった。
玉三郎さんが名刺を持っていること自体がちょっとした驚きだった。 この人の名前を知らない日本人なんているんだろうか?
そして10分くらいだろうか、ボタンとシャクヤクの違いや、植物をベランダで育てるときの注意点なんかをペチャクチャとお喋りした。
かなり植物のことはお好きなご様子で、なんなら僕の植物観察にきてくれれば喜んで案内するのに、なんて思ったことを思い出す。
今思えば、すごい人と、信じられないような会話をしたんだなぁと、今日の公演を見ていて改めて思った次第。
もちろんあの時の名刺は今も大切にとってある。
ボタンとはそんな不思議なご縁をもたらしてくれた有難い花だった。
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