とある駐車場。
ありがちな緑色のフェンスに茶色く枯れたツタのようなものが絡まっていた。
「枯れた」と思っているのは我々人間の浅はかなところである。
この茶色く枯れたと思われたつる性の植物はどっこい枯れてはいなかった。
これはヘクソカズラ Paederia scandens という哀れな和名のついた植物である。
園芸品種として珍重されるようなものでもなく、どこにでも生える言わば雑草である。
冬の間は茶色く枯れているように見えて、その実、春になったら再び息を吹き返す力を蓄えていたのだ。
そして春がやってきた。
茶色く枯れたように見えた枝の節々から新たな芽がニョキニョキと顔を出し始めた。
一旦枯れたように見えても、こうやって逞しく息を吹き返すというあたりが雑草の強みなんだろう。
緑のフェンスをヘクソカズラが覆う日も近い。
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