書こうかどうしようか迷ったけど、今日はやっぱり書いておこうと思う。
それは 「奇跡の一本松」 のこと。
もう知らない人はいないんじゃないかというくらい有名になったが、陸前高田市の高田松原で津波に耐えて約7万本の松の中でたった1本だけ生き残った。
津波ということで潮水に浸かってしまったため、根が腐ってきてしまった。
専門家が知恵を絞ってなんとか生き延びさせようとしたが、結局数日前に「生育絶望」という結果となってしまった。
この一本松の樹齢は260年以上、高さ30メートル、直径80センチ。
260年前って江戸時代、徳川吉宗のころなわけで改めて樹木の生命力には驚かされる。
でも260年って割にはスリムで、幹の直径が80センチっていうのはいわゆる大木・古木のイメージとはやや異なる。
これよりも太いウエストの人、沢山いるでしょ。
この奇跡の一本松がいわれはじめた頃から、行って実物を見てみたいと思っていた。
でも松の木を見るためだけに被災地に足を踏み入れるのも不謹慎な気がしていた。
実は来年、再来年に日本を縦断するような植物に関する大きなプロジェクトがあって、そのときに立ち寄ろうと思っていた。
でもそのころには残念ながら一本松はもうないかもしれない。
残念だ。
一方、新聞に目をやると、『一本松の枝から接木をして遺伝子を残そうとしている』 とか、『種から苗を発芽させることに成功した』 などの記事があった。
接木は接木4兄弟ってことで長男「ノビル」次男「タエル」三男「イノチ」四男「ツナグ」と命名されたそうだ。
この辺がちょっと緊張感があるようなないような微妙なカンジで困っちゃうんだけど。
でも価値ある木の遺伝子を構成に継承していこうというのは洋の東西を問わない気がする。
記憶に新しいところでは鎌倉鶴岡八幡宮のイチョウ。
西洋では 「ニュートンが万有引力を発見したリンゴの木」 っていうのがいくつかある。
ニュートンは1600年代半ばにイギリスのケンブリッジ大学にいたので、ケンブリッジ大学植物園にもニュートンのリンゴの木がある。
でもそれはオリジナルのリンゴの木ではなく、接いだものだ。
恐らく接木の接木、そのまた接木だろう。
接木っていうのはこの前のペアフルーツでも書いたけど、ひらたく言うならクローンなので、親とまったく同じものができるわけだ。
話が逸れたけど、一本松の遺伝子を引き継いだ苗がこれから少しづつ大きくなっていって、高田松原が再び景勝地に戻るまで、我々は今年の3月11日のことも大切に語り継いでいかないといけないだろう。
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