話は再び京都府立植物園にもどる。
園内を歩いていたらば遠目に立派な樹形の落葉樹が目に入った。
なんだろう?
近寄ってみるとそれはラクウショウ Taxodium distichum だった。
ラクウショウはこれまで花咲ブログでも取り上げたことがあるが、沼などの湿地帯で頑張っている。
湿地帯ということは、根のまわりの土はビショビショに湿っているか、もしくは池のように水浸しであり、土の中の酸素が極端に少ないことになる。
植物の根の役割のひとつとして呼吸があげられるが、これでは呼吸できない。
そこでラクウショウは呼吸根といって潜水艦の潜望鏡のように根をあちこちにニョキニョキと出して呼吸するという工夫をしているのだ。
これがラクウショウの最も典型的な姿である。
写真は新宿御苑のラクウショウの呼吸根。
湿地となっているが、必ずしも水を湛えているとは限らない。
ということで植物園などのラクウショウを展示している場所ではラクウショウと沼地というのはある意味セットとなっている。
で、京都府立植物園のラクウショウはというと、ラクウショウの根元は全くの地面で沼がなかった。
あれっ?? と不思議に思ってよくよく見てみると、アスファルトの通路の向こう側が湿地帯になっていて、そこからちょこちょこと小さい呼吸根が出ているのを見つけた。
右の太い幹がラクウショウ、そして左の枯葉に埋もれた小さな出っぱりが呼吸根である。
新宿御苑のそれに比べるとかなり貧弱である印象は拭えない。
ということは、このラクウショウの根はアスファルトの下をくぐって湿地帯に根を伸ばしているということになる。
来園者はその根の上を歩くことができるという、ある意味画期的なことになっていた。
根というのは時にアスファルトや塀や家屋などを持ち上げたりして底知れないパワーを持っている。
こうやってアスファルトの下をくぐって根を伸ばして水を求める根の様子を見ると、まさに根性だなぁと感心してしまう。
またそれを展示として利用する植物園のしたたかさもなかなかのものである。
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