かれこれ12年ほど前。
サラリーマンを辞めて植物・園芸の道を選択した。
右も左も、何も分からずに飛び込んだ。
植物の名前もサクラ、ヤナギ、イチョウくらいしか知らなかったのではないか。
ひょんな縁があって、とある植木屋さんでアルバイトをさせてもらうことになった。
それが今も師と仰ぐ植木屋の親方である。
色々と教えてもらったのだが、とにかく植物の名前くらい分からないと話にならないゾ と事あるごとに言われた。
図鑑なども買ったのだがどうも覚えられない。
今になって考えれば当たり前である。
写真をチラチラ見た程度で、ホンモノを見ずして名前なんか覚えられっこない。
で、親方に相談した。
どうしたら覚えられるでしょうかねぇ
すると親方は言った。
植物園でも公園でも良いから木に名札のついているところへ行ってひたすら覚えるのよ
そこで当時近所だったということで、この旧前田公爵邸のある公園に暇を見ては出掛けて木の特徴と名前を覚えるように努めた。
本当に静かな隠れ家的な公園で、前田公爵の邸宅は立派な洋館で雰囲気がとてもヨロシイ。
公園内の木々には一応名札がついているのだ。
正直にいうと、理論抜きでがむしゃらに覚えようとしたので大して効果はなかったように思う。
木の見方、特徴のある箇所、というものがサッパリ分かっていなかったのだから仕方が無い。
こういうものはロジカルに頭に入れていかないと根性だけでは限界がある。
無駄は多かったけど、情熱だけはあって日がな公園を歩いてはマテバシイ、イチョウなどと分かりきった木の名前を口にしていたものである。
それから12年が経って、昨日ちょっとだけこの公園に寄ってみた。
あまり変わりがなくて、当時の甘酸っぱい記憶が蘇ってくる。
12年という年月を経て、花咲ジジイもそれなりの年齢になったけど、有難いことに当時の熱はいまだに冷めていないように思う。
好きなもの、興味のもてるもの、そういうものに出会えたことを本当にシアワセだと思う。
ヨカッタ。
当時と変わらない木々の間を歩きながらちょっと初心に戻った。
ヨシッ と小さく気合を入れて再びペダルを踏んだ。
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