アップル対サムソン。
新聞ではスマートフォンをめぐる両社の特許紛争が話題だ。
アメリカではアップルの全面勝利。
日本ではサムソンが一矢報いた。
でもそれぞれ争点が異なるので問題を同列に論じることはできない。
そんな話と花咲ブログにいったいどんな関係があるのか?
実は遠からず関係があるといえばあるのだ。
鉢花を買うとプラスチックのタグがついているでしょ。
ホームセンターや園芸店などで鉢花を買ったことがある人なら覚えがあると思う。
表面には花の名前や写真がキレイにプリントされている。
裏面には植物名、原産地、育て方、花の咲く時期などの情報が書いてある。
これは便利とばかりシッカリ読んで育てる人もいるだろうし、そんなの知ってるもんね、といって捨ててしまう人もいるだろう。
でも、いまちどジックリとそのタグを見て欲しい。
するとタグの下のほうに小さな文字で何か書いてないだろうか。
上の写真の場合であれば
「種苗登録品種に付き無断増殖を禁ず」
とある。
他にも、
「品種登録第○○○○号
この品種は種苗法に基づく登録品種です。育成者の許諾なく業として利用(採種し、譲渡、輸出入など)する行為は損害賠償、刑事罰となる場合があります。」
なんて詳しく書いたものもある。
これはいったい何だ?
植物の新品種を創るためには、それぞれの品種のもつ特性を考えて、いろんな組合せで交配する。
その中から、当初意図した品種を選んでいくわけだけど、言うほどコトは簡単ではない。
それをなしえるために試行錯誤を繰り返し、何年もの月日、手間、資金、設備などを投入して狙った品種にたどりつくのだ。
そういうことをする人を育種家(育成者)といっている。
しかし、そんなに苦労してつくりあげた新品種も園芸の知識があれば、挿し木や接ぎ木などで簡単に増やす(増殖)することができてしまう。
簡単に分かりやすくいうと、コピーができてしまうということ。
そうすると育種家の人たちの苦労が報われないことになる。
そこで法律(種苗法)で、育成者に一定の条件で一定の期間、その品種を独占する権利を与えている。
その品種を利用したい人は育成者に許諾料を払う。
ある楽曲と似たフレーズが含まれている歌、日本の人気マンガキャラクターに似た中国のテーマパーク、切り餅の切り方が似ている・・・
今回のアップル対サムソンの話もそうだが、新聞やニュースを見ているとこういった知的財産関連の問題が身近にあることが分かる。
そして園芸や農業の世界にもこの発想があるのだ。
植物の新品種は知的財産である。
・・・と、なにやら難しいことのようだが、しごく当たり前といえば当たり前のことだ。
で、僕はこの分野に興味をもって大学院まで通ってしまった。
知的財産を専門にあつかう大学院であったが、周囲は特許、商標、著作権、意匠などを学びにきている人がほとんどで、種苗法に興味をもって取り組んでいる人は皆無だった。
ある意味、異端といえば異端。
そしてこの秋から、東京理科大学大学院 知的財産戦略専攻イノベーション研究科 にて種苗法の講義を非常勤講師として担当することになった。
日本の教育機関でこの種苗法を単独科目として扱うのは例がないとのこと。
責任は重いが、先駆者としてのやりがいはある。
教壇、しかも大学院の教壇に立つなんてことはこれまで考えてみなかったことだが、ご縁があってそんなことになった。
単発的な1回講義ではなく、後期の授業をトータルで担当するのでシラバスなども考えて準備をすすめてきた。
そしていよいよ今月から開講となる。
例えようのない緊張感に押しつぶされそうな気がする。
現役の弁護士や弁理士なんかも紛れている可能性もあるので、エラいことを引き受けてしまったという後悔もあるが、いまさら後にはひけない。
・・・という訳で、今年の年明けあたりからなんとも落ち着かない日々を送ってきた。
なんとかやりきって、その先にどんな景色が広がっているのか見てみたいと思っている。
応援よろしく!
4 件のコメント:
何気なくタグを見ていましたがこうゆうことだったんですね。知的財産権って当たり前のことなのになかなか難しいようですね。
それを講義するってすごいことですねー。
日本で初めての事をする大学院もすごいし、それを教えられる先生が存在していたこともすごい。
心から応援します。時々大学院の講義の様子を教えてください。
京のふくろう
京のふくろうさん
コメント有難うございます。
頑張ります。
いつも家で増やしていたww
あまり読んでませんでしたが、当然といえば当然ですな...
大学の講義ですか。すごいですね。人前で話すのも大変なのに、相手は専門家...
健闘を祈りますw
ぴーさん
個人で楽しむ分には良いんですよ。
でも沢山できたからといってあげてはダメです。
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