旅の楽しみのひとつに食事があると思う。
「イギリスの食事ってマズイんでしょ・・・」
よく耳にするご感想であります。
これは深い問題だし、味覚という個人的な問題でもあるので、今日はあまり触れずにおこう。
でもヨークシャーの話をしているんだから、フィッシュアンドチップスの話はしておこうと思う。
フィッシュアンドチップスとはタラ(codもしくはhaddock)などの白身魚にころもをつけて揚げたものに、ジャガイモを揚げたチップスというものを添えて食べるものである。
英国料理=フィッシュアンドチップス(F+C)というくらいに英国を代表するファストフードとして定着している。
ヨークシャーではウィットビー(Whitby)やスカーボロ(Scarborough)など海岸線の小さな町から新鮮な魚がとれることもあって、ヨークシャーのF+Cが美味しいとされているとの見方が一般的である。
実は僕はこのF+Cに魅せられて、英国の至るところで食べ比べをした。
園芸の勉強そっちのけで、一時期は真剣にノートに魚の揚がりかた、コロモの具合、値段、店員の対応、雰囲気など真面目にメモしたりして周囲の英国人たちからは奇異な目で見られたこともあった。
7年もそんなことをして得られた重大な結論をご紹介しよう。
英国の南と北をどこで分けるか、その線引きは微妙なところである。
しかし仮にそれをリンカンシャー州あたりだとしてみよう。
リンカンシャー州の位置はネットで検索してみていただきたい。
そしてここ以南においてはF+Cを揚げる油には植物油が用いられ、ここ以北においてはラード、ドリッピングといった動物脂が使われているのである。
ラードは豚脂、ドリッピングは牛脂である。
この際、どっちが身体に良いかなんて野暮なことは言わないでいただきたい。
単純にどちらがウマイのか?
僕としては間違いなく動物脂で揚げたものに軍配を上げたい。
この理屈でいくと、ロンドンのF+Cは植物油で揚げたものということになる。
ロンドンのF+Cを食べて 「イギリスの食事はマズイ」 と思い込んでしまう方は是非ヨークシャーのF+Cを味わってみて欲しい。
まさに目からウロコなんだから。
上の写真はロンドンのパブでのF+C。
コロモが薄いのはまずいけない。
グリーンピースが添えられているのはマァマァだが、本場ヨークシャーではマッシーピー(Mushy Peas)といってグリーンピースをすりつぶしてドロドロになったものがついてくるのが通常だ。
半切りのレモンが焼いて出てくるのも理解に苦しむ酸味が欲しければモルトビネガーをわっさわっさと振りかければヨロシイ。
タルタルソースも困ったものである。こんな気取ったものは庶民のファストフードには似つかわしくない。塩をわっさわっさと振るのが正解である。
良いカメラで撮ったので、写真が良い、それだけである。
それに対して下の写真。
北ヨークシャーを代表するF+C屋の Whetherby Whaler であります。
店の中のレストランで食べることもできるが、take away もできる。
揚げたてアツアツをハフハフ言って食べる。
まずそのサカナの大きさを見ていただきたい。
これでレギュラーサイズ。
そしてコロモの厚さもロンドンのパブのものとは比べものにならないでしょ。
これがカリカリサクサクで中はジューシーな白身魚なんだから美味しいに決まっている。
これにモルトビネガーと塩をわっさわっさ振って豪快に食べる。
書いていて唾液が出てきてしまったよ。
ここのF+C屋は有名でウマイのだけど、ヨークシャー地方のF+C屋であればだいたいどこで食べてもそこそこ美味しい。
全て動物脂使用の風味豊かな英国庶民の味であります。
2 件のコメント:
いろいろためになります。一年後、娘がフランスへ留学するのでフィッシュ&チップス、花咲きジジイさんがよだれが出るとお墨付きのものを教えてあげます。
5月のイギリス旅行、いいなあと羨んでいます、さぞかし花咲きジジイさんの案内、RHSがらみとくれば行って損はないでしょうね。
ところで、イングリッシュブルーベルとスパニッシュブルーベル、旅には行けませんがブルーベルの森をぜひUPしてくださいませんか。日本にはスパニッシュブルーベルしか輸入されないと聞いていますから本場の香りのある本物を見たいです。
(補足)
2年前、娘がロンドンに短期留学した折に「フィッシュ&チップスのおいしいところどこか知らない?」とメールが日本にいる私あてに来ましたが、知るはずもなく、そのときは空振り。一度だけ食べたものはベタッ~として量だけ多くておいしくなかったと言っていました。フランス・イギリスは近いので週末を利用して遊びに行けると思います。まだ学費や留学費用がかかり自分が楽しむ余裕がありませんので、こちらのブログを拝見して楽しんでいます。
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