2012年6月25日月曜日

満身創痍


東京都港区。

サクラの木が小さな小道に覆いかぶさるようにある。

つっかえ棒というか添木が右隅のほうに見えるだろうか?

恐らくこの添木がなければサクラは倒れてしまうだろう。

そのくらいこのサクラは自立できずに寄りかかっている。

樹形からすると樹齢50年くらいはいっているんではないかと思われる。
サクラ(ソメイヨシノ)は寿命が100年いかないくらいに短いので、これはなかなかの古木であるといえよう。

しかし近寄って見てみると、このサクラかなり痛々しい。


まず家のすぐ軒下に植えられている。
よくぞ根を張ったね、と関心したくなるくらいスペースがないところで頑張っている。
恐らく苗木のころに、大きくなったときのことを深く考えずに植えてしまったのだろう。


徐々に大きくなるにつれて家屋の存在が邪魔になるが、サクラにとってはどうしようもない。
仕方なく家屋とは逆サイドに生長することにしたのだろう。


ところが逆サイドにも家の塀があったり、コンクリートブロックの門柱などの障害物なんかもあったようだ。


結局サクラはレンガの塀を押し倒して、門柱に食い込むようにして育ってきたらしい。






良くみるとサクラの幹がレンガ塀やコンクリートブロックと一体化してしまっている。


さらに見ると、大きくて太い枝(枝というのは太すぎる。幹かな。)が切られて腐食防止の黒い薬が塗られているのが分かる。


ということはこのサクラは「双頭」のサクラだったのだろう。


それが何かの理由でそのひとつが切り落とされてしまったのだ。


サクラが咲いているときはサクラのトンネルのようで良いだろうが、歩行者の安全を考えるとやや不安が残る。


聞けばこのあたりは再開発で近々このサクラは惜しまれつつも伐採されてしまう運命にあるらしい。


満身創痍のサクラ。


とてもフクザツな気分になった。



2 件のコメント:

茜景 さんのコメント...

イギリスの樹木医は、桜のことを本当に良く知っているのかと思うぐらい、すぐに枝を切ります。しかも四季を通して平気で切ります。我が家にも大きな大きな桜の木があるのですが、ガンガン切られてしまい、切ったところからヤニが出てきているのに、これは健康だからそのままにしておききなさい、と言われました。もちろんだんだん元気がなくなってきています(涙)。日本人の樹木医だったら、きっとこんなザツなことはしないと思います。
すみません。桜のことになると、ちょっと熱くなります(笑)。

花咲ジジイ さんのコメント...

茜景さん

コメント有難うございます。

「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」なんて言葉はイギリスでは通用しないのだと思いますね。

我々日本人は生まれながらにサクラの専門家なのかもしれませんね。