ツユクサ Commelina communis ・・・・
ごくありふれた初夏の花である。
この青い花を今日はいつもとは違う視線で掘り下げてみようではないか。
青いバラ、青いカーネーションなど青いナントカって場合はこのくらい青くあってほしいものだってくらいに青い色がきれいだ。
その花は直径2センチ程度の小さなものだが、たまには腰を落としてツユクサと向き合ってみるのも悪くない。
まずジッと見てみよう。
青くて大きな2枚の花びらがまるでミッキーマウスの耳のようであり、雄しべがまるで目のようでもある。
そんなユニークな「顔」をしている。
そこでこのユニークな顔を今日はつぶさに見てみようかと思う。
花は
花びら + がく + 雄しべ +雌しべ
という4つのパーツから成り立っているというのが基本である。
この4つが揃っている花を完全花とよび、そうでない花を不完全花という。
案外、不完全花も世の中には多いものだ。
さて、ツユクサを見てみよう。
花びらは誰が見たって疑いようがない2枚の青いやつ。
それではツユクサの花びらは2枚か?
答えは否で、実は下の方にある小さくて白いのも花びらなのである。
よって、花びらは3枚。
雄しべはどうか?
雄しべは全部で6つ。
ただし、2本のペア×3組というのが分かるだろう。
実際に花粉を付けているのは雄しべの5&6の2本だけで、1~4には花粉は付いていない。
これは恐らく虫をひきよせるためにあるものであると思われる。
雌しべは・・・・?
雌しべはこのツユクサには欠落しているようだ。
ツユクサには雌しべがある場合とない場合など個体差がかなりあるらしい。
そししてガクは全部で3枚。
白くて半透明なものが2枚見えるのだけど、もう一枚は青い2枚の花びらに隠れて見えないのだ。
ということでこのツユクサは
花びら3枚
雄しべ6本
雌しべゼロ
ガク3枚
ということになる。
何か気付かないだろうか?
雌しべこそ欠落しているが、それ以外は3の倍数になっているでしょ。
ツユクサは単子葉なのだが、単子葉の花の構造の特徴として3の倍数の構造というものがある。
ユリ、チューリップ、スイセンなど皆おなじ理屈なのだ。
是非、散歩の途中にツユクサを見掛けたら立ち止まって観察してみて欲しい。
6 件のコメント:
青い花のイメージは華やかな大ぶりの・・・ではなく、オオイヌノフグリやこのツユクサのように道端に小さくひょっこりと、あるいは人目につかない所で、あら見つかっちゃった!てな具合にあってほしいものであります。
あくまで清楚で涼やかに。。。
よろしくお願いします⇒誰に?
匿名さん
コメント有難うございます。
僕も道端に名も無く(?)ひっそりと人知れず咲く花に魅力を感じます。
見つけてあげて、こういうブログで紹介してあげるのも良いかな、と。
雌しべがない花があるなんて、素人には驚きでした。どうやって受粉するんだろう?それとも、雌しべがないツユクサは次世代を育むことなくここでおしまいなのでしょうか?そのぶん、雌しべを持つツユクサが種の保存のために頑張るということなのかな?
ホント、こちらのブログを読んでいると身近な自然の理にいかに無知であるかを思い知ります。「素人さんは知らないだろうなあ」という植物の不思議のお話をぜひまた書いてくださいね!
じゅんぺいさん
コメント有難うございます。
植物のすごいのは、受粉しないでも自ら勝手に増えるやつらがいることです。
例えばセイヨウタンポポなんて、受粉なんて関係なく通年どんどんタネが出来て増えていきます。
まさにターミネーター並み、SFチックな世界が我々の身近にあるんですね。
まさかツユクサがこんな仕組みになっていたとは。。。花を分解してみるのって面白いですね。ありがとうございました。
茜景さん
コメント有難うございます。
花はときどき「分解」してみるととても勉強になります。
せっかく育てた、あるいはせっかく買ったのにもったいない、可哀そうという気持ちはあっても、時には好奇心のおもむくままに植物を知るというのも大切であると思っています。
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