そんな訳でランの小話第二弾。
ランの種ってどんなものか想像がつくでしょうか?
アサガオの種やスイカの種を想像したのであれば、それは大きく裏切られることになる。
ランの種はこの写真の小さな瓶に入っている粉のような小さな小さな粒なのである。
例えるならコショウの粉のようなもので、信じがたいくらいに細かい。
それこそフッと息を吹きかければ跡形もなくなってしまう。
そんなに小さいので普通の種が持っている胚のみで胚乳という部分がない。
普通の植物であれば種のなかの胚乳部分に発芽してしばらく育つための栄養分が蓄えられているのだが、ランにはそれがないので菌類の助けをかりて発芽して育っていくのである。
なのでランの種を蒔いたからといってランが芽を出して育つということはない。
育てるには特殊な設備と方法が必要なのである。
写真は英国のキューガーデンのもの。
世界中から絶滅の危機にさらされているランの種が送られてきて、特殊な方法で種から育ててまたもとの場所に戻したり、あるいはそのまま保存したりといった活動をしているわけである。
花咲ジジイはしばしこのセクションでランの種まきをしていたことがある。
発芽のための特殊なレシピ通りにあれこれと混ぜて、無菌状態を保ち・・・・ と、まぁ庭仕事とはまったくかけ離れた植物の仕事である。
シャーレは冷蔵庫のような場所にて一定温度に保たれるのだが、そこで何かの雑菌に汚染されていると全て廃棄処分になる。
もうヒヤヒヤしながら、白衣を着てそんな作業をしていた。
今日の小話は 「ランの種は驚くほど小さい」 ということを申し上げたかった。
バニラアイスを食べると、ときどき小さくて黒いつぶつぶが入っていることがあるでしょ。
あれもランの種だよ。
バニラは学名は Vanilla planifolia といって立派なラン科の植物である。
こんどバニラアイスを舐めながらジックリ見てみて。
5 件のコメント:
ほー、無菌操作ですかww
若かりしころは得意でしたよw
私は菌のほうでしたが...
そんな特殊なことしないと繁殖しないって言うのは自然界では大変ですね..しかし、すごい数の種類があるってことは、色んな環境に適した進化をしているんだろうとは想像できますが、そんなに難しい進化しなくてもよさそうなのにね..
こんにちは、はじめてコメントさせていただきます。これまでよく拝見させていただいていたのですが、蘭の話しは興味深く、私のブログで花咲ジジイさんをご紹介できたらと思い、コメントしました。これからも、身近な植物の世界をいろいろ教えて下さい。日能研のとか、考えさせられました(笑)。(今年の4月あたりだったでしょうか、その節は貴重なお話しを長時間にわたりありがとうございました。ってここで申し上げてしまっていいのか、とまどいましたが(汗)。ご記憶にありますでしょうか・・・ただいままとめ作業に突入しております。 失礼いたしました。)
ぴーさん
コメント有難うございます。
おっしゃるとおり、ランは最も進化が進んだ植物であるといわれています。
ホント、植物ってすごいですよね。
hanarie-storyさん
コメント有難うございます。
花咲ブログでよろしければ、是非ご紹介ください。リンクもはっていただいて結構ですよ。
これからもよろしくお願いします。
あっ、スイマセン!昨日、投稿したつもりが生きていませんでした!プレビューで勘違いしたかも。最近、歳のせいでボケてチョンボばかりしているAlexです。
いや〜、オモロい小話を有り難うございます。
ランの種って実ぶつ見た事がないですが、まるで羊歯の胞子のようですね。
コチョウランは数株、庭の隅に転がしてあるので、開花の暁には、見てみます。
しかし、花咲ジジイさまの知見には脱帽です。
コメントを投稿