2012年5月10日木曜日

活生の物植


昨日は神保町で見つけた価値ある古本についてご紹介した。

実はもう一冊買ったのだった。

「活生の物植」
すなわち植物の生活であります。

これは昨日の本(雑誌の付録だった)よりもやや新しくて昭和15年に研究社から発刊されたものだ。
定価金五十銭と書いてある。

古本だけに裏表紙の裏に
「東京府立園藝學校本科第三年一組××××」
と、もとの所有者の名前が書いてある。

東京都のその前、東京府ですよ。
三年一組の彼は今頃なにをしているのだろうか?

そしてどこをどう巡って、ここにあるのだろうか、この本は。
そうやって考えると古本というものには独特の浪漫がある。

昨日の本は「園芸」の本だが、この本は「植物」の本であるという点が大きく異なる。

内容も
  • 生物の起源
  • 根とその作用
  • 植物の栄養
  • 種子の発芽
  • 植物の生長と運動
  • 紅葉と落葉
  • 植物の地理的分布
  • 進化
などなど、植物の生理、構造などについて触れている。

メンデルの法則なんかについても詳しく書いてあるし、減数分裂なんてことも解説してある。
ただし本のタイトルが右から左へ書いてあるようにすべからく表記が古い。

例えばメンデルのことを書いた一節に
「遺傅學の基礎を気付いた有名な人であるが、彼は西暦一八二二年に墺国シレシアの有福な百姓の子として生まれた。」
とある。

墺国ってどこ?何て読むの?
「おうこく」と読み、オーストリアのことであるなんて勉強になる。

昨日の園芸本よりは遥かに読みごたえがある。

ただ、グッとページを力強く開くと本がバラバラになりそうなのでハラハラして集中できないということはあるけども。



2012年5月9日水曜日

園藝術奥傅圖解


古本といえば神保町。

この前フラフラと散歩していたらばスゴイ本と出会ってしまった。

別に探していたわけでもないし、もちろん前から知っていたわけでもない。
本当に偶然、お店のワゴンに置いていあるものに目が留まっただけのことなのだ。

なんちゅうか、ビビビッときたんだね。

思わずその黄ばんだ古めかしい薄っぺらい本を手にとった。

園藝術奥傅圖解
録附二第號年新界世業農

縦書きなのは 園芸術奥伝図解 であり
横書きなのは 農業世界新年号第二付録
ってことだ。

横書きがヘブライ語のように右から左へ読むあたりが時代を物語っている。

一体いつのものだ?
裏を見てみると昭和13年印刷納本となっている。

ナント、74年前の園芸書ってことになる。

ワクワクしてどんなことが書いてあるのかページをめくった。
  • 種子の撒き方要領
  • 種子の撒き方色々
  • ケラの面白い捕殺法
  • ゴム樹の新繁殖法
  • 蔓バラの壁作り
  • カーネーションの取木
  • 松の手入れ
・・・などなど150項目以上に渡って書かれている。

昭和13年、第二次世界大戦前の昭和でどんな園芸がなされていたのか知る貴重な資料であると、もう勝手に興奮して値段も確認せずに買った。

レジで興奮したものの拍子抜けするくらい安かった。

家帰っていっきには読まずに暇なときにパラパラと見るようにして楽しんでいる。


例えば 「鋏の使ひ方」 なんてページもある。
使い方ではなく「使ひ方」ですよ。

もうこれだけでシビレちゃうなぁ。

「鋏は、決して、上から持ったまゝで材を切ってはいけません。下手をすると、刃がこぼれます・・・・」

句読点の位置だとか、「下手をすると」という表現や、「まま」じゃなくて「まゝ」ってあたりだとか、いちいち感激させられてしまう。

宝の山を掘り当てた気分だよ。

詳細はまたの機会に譲るが、園芸の基本というのはいつの時代も、どの国でも普遍であると知る。
当たり前か。





2012年5月8日火曜日

絡みっぽい奴



 もう終わりに近いというか、もう既に終わってしまったかもしれないが、フジの花には不思議な魅力がある。


藤棚というフジ専用の棚があって、そこから房状の花がぶら下がる様子はなんとも優美である。


盆栽としてのフジだってちゃんとフジの花を咲かせ、それはそれなりに雅なカンジである。


そんな気品高いフジだが、実は恐ろしい一面を持っている。


昨日のミントの話のような展開だが、チトちがう。


フジはマメ科の植物で、他のマメ科の植物同様つる性という性質を持っている。
スイートピーをイメージすると分かるでしょ。


マメ科の多くは「巻きひげ」を持って何かに絡みつく。
ところがフジは茎全体が何かに絡みつくスタイルをとっている。


例えるならアサガオね。


アサガオは草本といって、草のように柔らかく一年でその一生を終える。
多年草であっても冬の間は一旦地上部が枯れて春にまた新たに芽吹くということになっている。


ところがフジは木本といって、秋に葉が落ちても地上部から上が冬でも枯れることがなく年々生長を続けていく。
なので茎といって緑色で柔らかかったところが、数年には木化といって茶色くて固い木に変わってしまう。


そんな特徴を踏まえて今日の写真を見ていただきたい。


大きな木にヘビのように絡み付いているのはフジだと思われる。
フジは何も庭園の藤棚に上品にあるものだけではなくて、山のなかでも野生化したフジがある。


何年も前には絡みついたフジも、絡みつかれた木もまだ若かったのだと思う。
ところが何年もかけてお互いが生長するにつれ、フジが絡んで木化したサイズよりも、絡みつかれたほうが大きくなろうとした。


でもフジだって木化してしまっていて今さら、絡んだ木のために伸びることなんてできない。


結果このようにフジがガッチリと木に食い込んでしまって、今や一体化してしまっている。


よく街路樹のプラタナスがガードレールに食い込むというのは見掛けるが、これはその比ではない。


こうなると 「締め上げてやる!!」 というような鬼気迫る怖い雰囲気すら醸しているように見える。


最終的にこの木がフジを完全に覆って生長を続けて言った場合。
何十年か経ってこの木が倒れたとして、それをチェーンソーなんかで刻んで片付けようとしたら
    「木の中から別の木がでてくる」
という不思議な現象が起きるかもしれない。


食い込み方がタダモノではないフジを見ていてフトそんなことを思った。



2012年5月7日月曜日

恐ろしいハーブの話


5月。

連休も終わり、春本番、というか初夏の雰囲気すらある。

季節も良くなってきたのでお庭でお花なんか育てちゃおうかしら・・・なんて思っている方も多いのではないだろうか。

連休中に都内の園芸店に出かけてみたのだけど、スゴイ人出だった。

これだけ園芸熱が高いのかと思う反面、自分はそれほど忙しくないということは自分の方向性が間違っているのではないか、などと不安にもなる。

そんなことはさておいて。

どんなものを育てるか。
もちろん季節の花を花壇、植木鉢、ハンギングバスケットなどに選ぶ場合が多いだろう。

それ以外にありがちなのはハーブである。
ちょっと摘んで料理に使ったり、香りを楽しんだりして、愛好家が多い。
植物の容姿的にもカワイイものがあるので人気もあるのだろう。

「ウチではハーブを育ているの・・・」
なーんていうと、なんかオシャレな感じもしなくもない。

で、ハーブはオシャレなのだろうか?
いやいや、ハーブは時として悪魔にもなるという今日のお話であります。

とある花壇でミントを使ってみた。
ところが日当たりの問題などもあって、あまり意図したように育たなかったので諦めて違う植物と入替えることにした。

ついでに花壇の水はけを良くすべく土壌改良も行った。

花壇に植えてあった植物を一旦全て掘りあげて作業を行った。

そのときに見せたミントの悪魔の一面。

あまり生長が思わしくないなぁと思っていたのだが、実は花壇に根っこを縦横無尽にめぐらせていたのだった。
土は黒っぽいのに対して、ミントの根は真っ白だったので特に目立つ。

取っても取っても白い根が絶えないのでウンザリした。
その旺盛な根の生長振りはドクダミを髣髴させるものがあった。

危ない、危ない、花壇をミント畑にするところだった。

丁寧にミントの根を取り除いて土壌改良を終えた。

それから約1ヶ月経って。
花壇をジッと良く見てみると、小さいけれど間違いなくミントが芽を出していた。

葉っぱは数枚、草丈はせいぜい5cmくらい。

これを丁寧に掘りおこしてみた。
それが上の写真だ。

根もシッカリ生えて、小さいながらも立派なミントだ。

驚くべきは、このミントはどうやってこのように育ったのかということ。
タネから?イエイエ。

なんとたった数ミリの根っこから芽を出して、さらに新たな根を出してイッチョマエのミントになっていたのである。

下の写真の白くて短い横になっている棒のようなものが見えるだろう。
これは、前回土壌改良をすべく全てを掘りあげて、丁寧に取り除いた根のなかで、ホンのちょっとだけ花壇に残された根の残骸である。


こんな1センチにも満たない根のかけらから新たな命を芽吹かせるとは・・・。
恐るべしミントの生命力である。

ドクダミだって、スギナだって、この理屈で増えるので駆除は至難の業なんである。

この事実から言えることはミントは地植えしてはいけない、ということ。

繁殖をコントロールするためにも、鉢で育てるのが無難だといえる。

広い敷地でいったん根付いたら最後、駆除することはなかなか難しいと心得るべし。

これが悪魔のハーブと呼ばれる所以である。
(因みに悪魔のハーブなんて誰も言っていません。僕が今勝手に名付けただけですので悪しからず。)


2012年5月6日日曜日

まさかのチェルシー@池袋


お知らせしておりますように、今月21日から英国ツアーに出かけます。
ツアーのタイトルにもあるように、一番メインはチェルシーフラワーショウを見に行くことであります。

チェルシーフラワーショウは1913年にはじまった世界で最も格式高いフラワーショウであるといえるだろう。

ここではショウガーデンといって限られたスペースにテーマ性をもたせた庭が人気だ。
ここに出展することはガーデンデザイナーの夢であり、売れっ子ガーデンデザイナーへの登竜門であるといわれている。

「チェルシーフラワーショウでゴールドメダル・・・」なんていうフレーズを聞いたことがあるだろう。

そのゴールドメダルがどんなものかというと、今日の一番上の写真がそうだ。

THE ROYAL HORTICULTURAL SOCIETY
GOLD MEDAL
英国園芸協会 ゴールドメダル

と書いてあって、中央のゴールドが輝かしい。

ここで問題です。

このチェルシーのゴールドメダル、どこで撮った写真でしょうか??

正解は、ナント池袋!!

今日買物に池袋に出かけた。

買物を終えて歩いていたらば、たまたまパチンコ屋さんの前を通りかかった。

僕はパチンコというものをやらないのでいつもは前を素通りするだけなのだが、どういう訳かそのとき店舗前にあった看板に目がとまったのだ。

チェルシーフラワーショウがどうとか、と書いてある。
屋上庭園がどうとか、と書いてある。

よく分からないが、とりあえず自動ドアを開けて店のなかに踏み込んでみた。

二重構造のようになっていて、皆がパチンコやスロットに興じているのは奥の扉の向こうのようで案外静かだった。

2階にはカフェみたいな場所があって、そこにいた女性店員に尋ねると庭園は屋上にあって現在無料公開しているんだそうだ。

階段を屋上まであがる。

パチンコ屋さんなので、皆パチンコに忙しくて屋上庭園なんてあまり興味がなさそうだ。
案の定、屋上には誰もいなかった。

屋上庭園の名前は 「花の楽園」 というもので、このパチンコ屋さんの名前を冠している。

庭園に目をやると、そこには緑と花が溢れていた。







ここを手がけたのは、写真のゴールドメダルの受賞者である石原和幸さんという、最近テレビでもよく見掛ける方。

園内を2周したが、石原さんテイストが充満していた。

彼の得意技であるコケはあまり見かけなかったが、滝が落ちて、小川が流れ、独特の東屋のような構築物があって一目で石原さんのものだと分かる。

重量的に大丈夫なんだろうか?
ちょっと心配になるくらい、詰め込んである。

石原さんはチェルシーの小さい庭のカテゴリーで確かに3年連続ゴールドを得たが、大きい庭のカテゴリーに移ってからはゴールドには恵まれていない。

たしか今年も出展すると聞いているので、いったい大きい庭部門で初のゴールド獲得なるのかは現地にてこの目で確認してこようと思う。

「チェルシーなんて遠くて行きたくても行けないわ」とおっしゃる方は、まず池袋で石原さんのチェルシー的庭を見てみるなんてのも面白いかもしれない。


ご覧のように池袋のほぼ駅前。
サンシャインビルも垣間見える。

こんなビル群の、しかもパチンコ屋さんの屋上にこんなものがあるとは意外としか言いようがない。

5月12日からは西武球場にて国際バラとガーデニングショウもあるので、同じ西武線ってことでついでにパチンコ屋さんの屋上庭園を見るなんてのも無駄がないかもね。



2012年5月5日土曜日

Go British


連休もあと一日を残すばかりとなった。

ようやく天気が良くなってきて、これから連休ならよかったのに・・・なんて思わないでもない。

昨日は夕方から小雨のなか有楽町に出かけた。

現在有楽町ルミネでは British Week というイベントをやっている。
昨日は知り合いの方がイベントスペースで寄植えのワークショップをやるというので見学にいったのである。

植木鉢やプランターなどの器のことをコンテナという。
コンテナという限られた空間に、色彩、奥行き、立体感、季節感などあらゆる配慮をしてつくりあげるのがコンテナガーデニングというもの。

限られた時間に参加者の方々はテキパキと寄植えをつくりあげて持ち帰っていた。

会場にはロンドンから持ってきたのだろうか、ダブルデッカーが鎮座ましましていてブリティッシュウィークの雰囲気を盛り上げていた。


中央にある植木鉢がスゴかった。

何がスゴいかというと、ここにある鉢は全てウィッチフォード・ポタリーという英国の超有名メーカーのもので、一個一個がかなりお高い鉢だったのだ。

メーカーというと工場で大量生産というイメージかもしれないが、そうではなく窯元のようなものでひとつひとつ手作りなのでとても味わい深いものだ。

それが惜しげもなくズラーッと大小織り交ぜて展示されていたのである。
しかもロープで仕切るなんてこともせずに。

恐らくここにある鉢全部合わせると100万円はくだらないと思われる。

なかなかお目にかかれない光景だと思うな。
なので思わずパチリと一枚写真を撮った。

次に向かったのは神楽坂。
オランダ人の友人と飲もうということになって、神楽坂に最近オープンしたスコティッシュパブに繰り出したのだ。

チェーン展開している英国風パブと違って、とても個性的で落ち着いた雰囲気だ。


ビールも美味しかったが、特筆すべきはその料理だ。

もちろんフィッシュアンドチップスを頼んだが、アツアツのサクサクで恐れ入った。

これまで日本で食べたフィッシュアンドチップスでは間違いなく一番美味しかった。
友人が食べたチキンアンドチップスもカーネルサンダー顔負けの美味しさだった。


ビールを注いだコップを置くコースター(これを beer mat という)はお店オリジナル。

よく見るとスコットランドの国花であるアザミ(thistle)がデザインされている。

因みにイングランドはバラ(rose)、アイルランドはコメツブツメクサ(shamrock)、ウェールズはラッパスイセン(daffodil)である。

ようやく植物の話になったね。

さて有楽町~神楽坂と都内でブリティッシュ気分に浸ってみたが、今月は英国ツアーに出かけるので、その肩ならしをしたって感じだろうか。

いやーだんだん気分も盛り上がって楽しみになってきたなぁ。

行くまでにやらなければならないことも山積みだけど・・・。

 

2012年5月4日金曜日

花咲ブログ番外編 (シモキタ散策)


昨日は雨の下北沢にいた。

僕は3歳ころから30歳過ぎくらいまでこの近くに暮していた。
下北沢は遊びに、買い物に、食事にとちょくちょく出かけ、とても愛着のある町だった。

下北沢の面白さは、こじんまりとした種種雑多な店が軒を連ねていることだと思う。

最近は小田急線の複々線化、高架もしくは地下化にともなう取組みによって小田急沿線の駅の様子は劇的に変わってしまった。

下北沢はとくにその変貌の幅が大きいのではないかと思う。
そしてまだ建設途中で、用地買収も完全ではないように見受けられる。

僕が好きだった場所のひとつが駅の北口を降りてすぐの雑多なヤミ市的なこじんまりとした商店街。

ここは狭い通りに色んな店がひしめいていた。
乾物、生鮮食料などはもちろんだが、なんといっても洋服屋さんと靴屋さんが良かった。

今から30年近く前の話なので、世の中にはアメカジなるものが流行っていて、この商店街にドンピシャのラインアップを誇る店がいくつかあったのだ。

バスやコールハンのローファー、トップサイダーのデッキシューズ、スタンスミス、レッドウィング、そしてLLビーンなど。
そうそう、このページの下に載せてある人気ブログランキングのアイコンのビーンブーツもここで買ったものだ。
ソールは交換したけど、いまだに現役ってのもスゴイ。

洋服屋さんでは気の利いたティーシャツ、トレーナー、アウタージャケット、ワークパンツなどがあった。

ここをグルッと一周するだけで胸が高鳴ったものだった。

そんな愛すべき懐かしい下北沢に久し振りに出掛けたのだ。
夜に下北沢で予定があったので、せっかくの機会なので夕方から出掛けて散策したというわけだ。

しかし、しばらく歩いて感じたのは
「ぼくの知っているシモキタではない・・・」
という悲しい現実。


当たり前なんだけど、前あったはずの店がなくなっていて、新しい店になっているところが多い。
もちろんそんな新しい店には愛着もわかない。

例えばカウボーイというステーキハンバーグの店もなくなっていた。
シチューの店伊万里もなくなっていた。
ジャズ喫茶マサコもなくなっていた。
かに由という角のカニ料理屋さんは中学時代の同級生の家だったが、現在解体中だった。

一方、ミスタードーナッツ、餃子の王将、ジーンズメイト、ザック(喫茶店)、シェ・リュイ(パン屋)などは昔のままだった。


前述の駅前の雑多な商店街も昨日見た限りでは角に一軒だけ、アメリカ屋という洋服屋さんのみ細々とやっていた。
おじさんんもかなり老けてしまったが、当時のおじさんに違いなかった。

本田劇場もあるにはあるが、テナントも大きく変わってしまって様子が違う。

そんなことを嘆いていてもはじまらないのだけど、一抹の虚無感は禁じえなかった。

雨の中ひととおり歩いて、待ち合わせ時間まで余裕があったので、昔よく通った喫茶店にいってコーヒーを飲むことにした。

トロワシャンブルというお店で、階段を上がっていくとまだその店はあった。

雰囲気はそのままだった。
なんとなくホッとして濃いコーヒーをいただいた。


店の壁はタバコの煙のヤニなんだか、他の理由で経年変化しているのか茶色くなっている。
静かに流れるジャズ。

そうそう、ジャズなんてあんまり知らなかったころに、たまたまこの店にきて、
「コーヒーとかジャズとかってカッコ良いじゃない」
などと思って、近所にあった貸レコード屋「黎紅堂」でソニーロリンズやビルエヴァンスなんかを借りて帰り、押入れにしまってあった父親がゴルフの景品でもらってきたサイフォンコーヒーセットなんかをひっぱり出してでコーヒーをいれたことを思いだした。

町が変わってしまったのは残念だけど、僕自身年をとったということでもある。
なんともフクザツな気持ちにさせられる下北沢散策でありました。




2012年5月3日木曜日

潔いユズリハ


常緑樹も葉が入れ替わるので落葉するんだよ。
それを指して 常盤木落葉 というらしい。

そんな話をしたのが昨日だった。

昨日はその例としてクスノキを出したけど、一番有名で、かつそのことが名の由来にもなっている木がある。

ユズリハ Daphniphyllum macropodum である。

新緑のこの季節、新しい葉が芽吹くと、その前の前の年、すなわち2年前の葉がまるで代を譲るかのように落ちることからユズリハという名がついたといわれている。


イマイチ言っていることが分からないという方に、今日は分かりやすく色を付けてみた。

赤丸が今年の葉。まだ黄緑色というか、色が淡いでしょ。
黄丸がもう落葉寸前の葉。葉が黄色っぽく変色しているし、だら~んとぶら下がって生気がない。

赤と黄の間の青々とした葉が、今まさに盛んに光合成を行っている「働き盛り」の葉たちだ。
色も濃く、ツヤツヤと葉に張りがあって血気盛んなのが分かるだろう。

同じことは他の常緑樹・潅木でも見ることができる。

例えばアオキ。



赤丸が新しい今年の葉。
黄丸が落葉寸前の葉。

ユズリハと同じカンジでしょ。

春になると新芽が膨らみ葉を出す、一方で2年より前の葉がひっそりと引退する。

自然に起きていることで不思議でもなんでもないといえばそうなんだけど、こうやってジックリと葉を見ながらそんなことを考えるととても不思議な現象だという気がする。

わしゃまだまだ若いもんには負けんぞっ!!
といって、代替わりを渋る古葉なんていないんだから。

潔いといえば潔い。




2012年5月2日水曜日

常盤木落葉


明日から連休後半。

今日は生憎の雨。
明日も降るらしい。

さて本来であれば風薫る5月ってことで、新緑が目に優しい良い季節である。

でも注意して地面を見ていると落ち葉が多いことに気付かないだろうか?

何をバカな。
紅葉して落葉するのは秋から冬にかけてでしょっ・・・・

それは確かにそうなんでありますが、それは落葉樹の場合であります。

樹木には常緑樹といって、冬の間にも葉を落とさず年中青々としているものもある。

そういった常緑樹はズッと葉を落とさないのか?

そうではありません。
古い葉と新しい葉が入れ替わるのがこの時期なんであります。


一番典型的なのがクスノキかもしれない。
クスノキの大木の下にいくとご覧のようにあたり一面落葉で茶色くなっている。

同様の現象は程度の差こそあれど、多くの常緑の高木、潅木で起きている。

枯葉掃除が大変なのは何も秋だけではないのだ。

因みにだが、こうやって常緑樹の葉が春に落ちることを
常盤木落葉 ときわぎおちば
といって、俳句においては初夏の季語となっている。

常盤木とは常緑樹のことだが、「ときわぎおちば」って、これだけで7文字もあるので、5・7・5の俳句フォーマットに一発で組み込むのはなかなか難しそうだ。

「常盤木」と「落葉」を分割して表現する作戦が良いのだろう。

常盤木の落葉かさなり山探し (子規)



小さな大問題


朝日に輝くオレンジ色の花びらが感動的にキレイだった・・・

それは確かなのだけど、その背後にある大切な問題もある。

papaverさんからするどいコメントを頂戴した。

外来種の問題である。
外来種が在来種を駆逐してしまうという問題。

これは何も植物だけの問題ではない。
鳥や虫を含んだ動物にも言えることで、とてもとても深い問題である。

これだけあちこちでナガミヒナゲシを見掛けるということはそれだけ繁殖力も旺盛であることであるということだし、それだけ旺盛な繁殖力があるとそうでないライバルを蹴散らしてしまう。

結果、生態系を乱す大問題となる。

花びらがキレイだった・・・などと呑気なことを言っていられない問題だと改めて気付かせてくれる有難いコメントでした。

小さな花ひとつでも深い問題をはらんでいるもの。

これからも植物を多角的に考える視線をもったブログを心掛けたいと思います。



2012年5月1日火曜日

小さな感動ありマス


連休の狭間。
お仕事の方もいれば、連休中の方もいるだろう。

どうやら天気は下り坂のようで、今日も突然のにわか雨にやられてしまった。

休みの間は、自分自身の健康のためと、ちょっと太り気味になった犬のために早起きして努めて歩くようにしている。

もちろんカメラを抱えて。

この前、「ああっ、早起きして散歩して良かった!!」と思える光景に出会った。

それは近所の空地に群生しているナガミヒナゲシ Papaver dubium を見たときだった。

この薄オレンジ色のナガミヒナゲシ(ポピー)は、雑草のごとくあちこちの道端で見掛けることができる。

とっても薄い花びらがなんとも印象的であるが、花びらは恐らく一日で落ちてしまうのではないだろうか。

はかない。

そのナガミヒナゲシは他の雑草たちと一緒になって、濃い緑の草むらからオレンジ色の花をのぞかせていた。

オレンジの薄い花びら越しに朝日が透けて見える。
それがキラキラとオレンジ色に揺らめいてなんとも幻想的だった。


ねっ、キレイでしょ。

面白いと思ったのは、全ての花が朝日を向いていたということ。
花が太陽の方向を向くというのは、なにもヒマワリだけではないのだ。

同じナガミヒナゲシの群生を見ても、この光があるのとないのでは感動が違う気がする。

そんな小さな感動は案外身近にあるものだと思うな。



2012年4月30日月曜日

遠くから、近くから


GWの天気はどうやら下り坂なんだそうだ。

外に繰り出そうと思っていた人にとっては残念なこと。
そうやって考えると昨日、快晴の新宿御苑に出掛けてよかった。

昨日ちらりと書いたけどオオアマナが今満開だ。

上の写真を見て欲しい。

白い花畑のような場所に、なにやらニョキニョキと棒のようなものが出ている。

白い花がオオアマナで、棒のようなものはラクウショウという大木の根っこだ。

ラクウショウは水辺に育つので、地中で根っこが十分呼吸できない。
よって、このように潜水艦の潜望鏡のような根っこを地上に出して呼吸しているのだ。

白い雲海から、尖った山の頂きが見えるようで、ロードオブザリングのワンシーン、もしくは中国の水墨画のようでもある。

このラクウショウとオオアマナのコンビネーションは新宿御苑ならではだと思われる。
見ごたえがあって、かなり美しい。

都内にもう一箇所オオアマナの名所がある。
それは小石川植物園だ。

ここはほんとうに白いカーペットのようにオオアマナが群生している。

いずれも一見の価値があるが、恐らく花はこのGW一杯ではないだろうか。


オオアマナと書いたが、正確にはどうやらホソバオオアマナ Ornithogalum tenuifolium らしい。

オオアマナは在来種、外来種など幾つかあるが、このホソバオオアマナは外来種でかなりの勢いで増えているようだ。

ひとつの茎に複数の花が咲くのが特徴のひとつで、在来種の場合ひとつの茎にひとつの花というのに比べると繁殖力が旺盛であることが想像できる。


ユリ科なので、花の基本構造はユリやチューリップなどと同じだ。
6枚の花びらに見えるのは、正確には外側の3枚がガクが変化したもの(外花被)で、内側の3枚が花びら(内花被)である。

おしべは6本、すなわち3の倍数で、めしべもよくよく見ると6つにくびれているのが分かるだろう。
単子葉のユリ科などの植物たちは3の倍数好きなのだ。

一面の白い花畑を俯瞰しても面白いし、こうやってひとつの花を覗き込んでつぶさに観察してみるのも面白い。

いろんな楽しみ方があるよ。




2012年4月29日日曜日

安・近・短


はじまりました、ゴールデンウィーク。
略してGW。

GWはいかがお過ごしでしょうか?

遠出したいのはやまやまなのだけど、いろいろとやることが溜まっていて遠出もままならない。

なので、って訳でもないのだけど都内を自転車でウロウロした。

新宿御苑、北の丸公園、神保町、秋葉原、水道橋、大塚、池袋・・・

フラフラしていたらばなんとなくそれだけ移動していた。

なんといっても今日は新宿御苑が入苑料無料の開放日。
好天にも誘われてすごい人出だった。

思えば、どういう訳か毎年この時期に新宿御苑に出かけているなぁ。

毎年この時期の新宿御苑はハンカチノキの花が咲いていて、オオアマナの花も咲いていて見所満載の時期だ。


ハンカチノキもオオアマナも人垣ができるくらいにカメラを持った人が集まっているので、広い苑内でも容易に見つけることができるだろう。

都会のド真ん中にこんなに緑豊かな場所があるってのも東京の不思議であり、魅力でもある。

遠くへ行くのもめんどうだなぁというアナタ。

安・近・短をそのまま体現する都内の公園、緑地の数々。
都内の公園には見るものも多くかなりの穴場ですゾ。