2008年11月17日月曜日

ヒーロー1 Hero 1



先週、とある個人のお宅の手入れに行った。

気持ちの良い小春日和で庭仕事を本当に楽しく感じてしまう。

身体をちょっと動かすとうっすらと汗をかく。

僕は庭でツゲを刈り込んでいたのだけど、親方の方向に耳をそば立ててみても音がしない。

静かなのだ。

どうしたのかな、と思って見に行ってみると独りで玄関の門にある松の手入れをしていた。

松の手入れは独特で、古い葉を手でむしって「すかして」いく手作業だ。

かなり根気のいる作業で、手先は動かすが身体はあまり動かさないため、冬場の底冷えのする日には身体の芯まで冷えてしまう。

普段は木にスルスルと登って作業をするのだけど、この日は親方のトラックにクレーンがついていたので、親方はこれを伸ばしてその先端にチョコンと座って松と向き合っていた。

僕はその図を見てなんとも言い難い気持ちになった。

まず、その崇高さ とでも言うのか、クレーンの先っちょにチョコンと座っている様に、何やら仏様のような神々しさを感じてしまったのだ。

さらに、天気の素晴らしさもあってか親方が松に向き合う姿を見て、とても平和な気分に満たされた。

そして親方の表情を見て いい顔をしてるなぁ、と感じ入ってしまったのだ。
     

   
今回本邦初公開となる親方であるが、この人は本当にスゴイ
   
まず仕事が出来る。そして手が早い。さらに邪念がない

別に褒めて何か貰おうってつもりはなく、本当に今どき珍しい人だと思う。
    
思えば僕が園芸の道を志した10年前に偶然知り合った。
    
当時は僕はまったく経験も知識もなかったのだけど、イチから懇切丁寧に教えてくれた。
   
「よくぞ右も左も分からなかった僕を使ってくれましたよねぇ」と言うと

「おおっ、あの時は人がいなくて誰でも良かったのヨ」と笑う。
   
「君に何か光るものを感じたのだ」とか何とか言ってくれれば良いのに正直な人である。
   
そして10年経った今、親方の手の足りないときに手伝いをしている。
    
お互い当時よりも10歳年をとったけど、体力ひとつとってもまだまだ勝てない。
   
素晴らしき我がヒーローである。
  
  

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

高所恐怖症の私としては見てるだけでも駄目です。技能の伝承はどの世界でも1番の課題です。免許皆伝目指してがんばれ!!
そういえば、国内の技能検定なんかはとったんですかね?