巨樹・古木といえばここしかあるまい。
それが屋久島。
かねがね屋久島と利尻・礼文島には行きたいと思っていたので今回その夢がひとつ叶った。
屋久島は鹿児島空港から飛行機で約40分。
飛んだ、と思ったら着陸である。
その他、トッピーという高速船のアクセスもある。
屋久島の植生は本当にユニークで、亜熱帯植物、高山植物、そして屋久杉といった大木も多く見受けられる。
これはその地形と天候によるところが大きいと思われる。
島は宮野浦岳(1936メートル)を筆頭に1000メートル以上の山が連なる。
そして島は花崗岩が隆起してできたため、地表に土壌が薄く「のっかっている」状態なのだそうだ。
年間降水量は平地で約4,000ミリ、山岳地では約10,000ミリと日本一の雨量を誇る。
この低地から高地を含む地形、比較的やせた土壌、豊富な雨量が独特の植生を育んだのだろう。
こういう条件では植物たちはゆっくりと生長する。
なので土産物屋さんで見かける屋久杉の加工品の年輪の幅は異常に狭いことに気づく。
年輪の幅が狭いということは、一年にそれだけしか生長しないということだから。
さて幾つかの有名な屋久杉をご紹介しよう。
あっ、因みに樹齢1000年以上の杉を屋久杉と呼び、それに満たない杉を「小杉」と呼ぶのだそうだ。
一番上の写真が縄文杉。
樹高25.3メートル 幹周16.4メートル
肝心の樹齢は7200年とも言われるが、最近の科学的な調査によると2170年ということのようだ。
いずれにしてもスゴイ。
まぁ7200年と2170年ではインパクトはかなり違うけど。
そしてこれがウィルソン株。
なんてことのない切り株と言ってしまえば元も子もない。
これがかのウィルソンが屋久島を歩いていて大雨に降られて雨宿りをしたことで一躍有名になった切り株なのだから。
大きな木の切り株に大きな洞があって、そこで雨宿りをしたのだという。
アーネスト・ウィルソンが誰かを知らなくても、屋久島のウィルソン株は知っているという人も多いだろう。
この切り株の前で休憩できるようになっているが、ここでおにぎりを頬張っていた女子高生グループの一人が
「ねぇー、ウィルソン株って何でウィルソン?」
と言っていた。
それは切株の前に設置されている案内板にも書いてあるからね。
ガイドさんの話によれば、最近はこのウィルソン株が若い女性に大人気なんだそうだ。
何故かというと洞の中のある場所から上を見あげると、上に開いた穴の形がハートになることから、縁結び、恋愛成就などの御利益があると、まことしやかに言われるようになり、多くの若き乙女たちがここを目指すのだそうだ。
そしてハート形に見えるポイントには一人しかしゃがめないので、そこにしゃがんで上を見るために大行列ができるんだそうだ。
スゴイやら、呆れるやら。
その日は幸いにそれほど混んでいなかったので、ガイドさんにその場所を教えてもらって、上を見あげてみた。
確かにハートに見えなくもない。
一応写真に撮ってみたが、あまり心がこもっていないというか、きっちりハートに見える場所を探して撮ったわけではないので雑な写真になってしまった。
それ以外にも巨樹・古木のオンパレードに心は躍る。
これは大王杉。
樹高24.7メートル 幹周11.1メートル
樹齢3000年
これは縄文杉が発見される前までは屋久島最大と言われていたらしい。
これもどっしりとして優美な雰囲気をたたえている。
さらには夫婦杉。
これは2本の屋久杉の枝が途中で繋がっていることからこの名前がついたらしい。
樹高 夫22.9メートル 妻25.5メートル
幹周 夫10.9メートル 妻5.8メートル
樹齢 夫1500年 妻2000年
いわば年の差カップルであります。
こんな感じで、樹齢1000年を超える名物屋久杉が何本かある。
そのいずれも普段都内をウロウロしている分には絶対にお目に掛かれない重みをもった巨樹・古木たちである。
それぞれの写真を見て気づいた方もいると思うが、写真に収まらないのに困った。
よしんば収まったとて、そのスケール感はなかなか伝わらない。
これは今回の巨木探訪に関しての共通の悩みである。
カッコつけて言うわけではないが、こういう樹を見ていると写真なんて何の価値も持たないという気がしてくる。
その場にいて、その樹と向き合って、肌で感じ、胸の奥深くに刻み込むことが大切なのだとつくづく思う。
そうかぁ、これが夢にまでみた屋久杉たちなのかぁ。
まさに百聞は一見にしかず。
生きていて良かったなぁ。
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