2014年5月7日水曜日

スーパー小学生現る


ツツジ5枚の花びらのうち、上の3枚、特に中央の1枚に点々模様がついてるのは何のためかご存知ですか?

これは蜜標(nectar guide)というもので、ミツバチなどの虫がこれによって甘い蜜のありかを見つけやすくするためについている。

なんでそんなものがあるかといえば、花はおしべの花粉をめしべに受粉させるために虫の力を借りていて、虫もただ働きはしてくれないので蜜を提供することで虫たちに働いてもらう。

蜜を吸いにきた虫たちは自分たちの身体に花粉をつけて、次の花へと飛んでいき、そこで受粉がかなうことになる・・・・

なーんて話をもうちょっと噛み砕いて、子供たちと植物観察したのが一昨日のこと。

すると昨日、参加した小学生のお母様からメールをいただいた。

小学2年生の男の子が自宅に戻ってツツジの観察を続けていてわいてきた疑問を、子供になりかわって質問してきたというわけだ。

確かに、小学2年生がパチパチとキーボードを叩いてメールで質問するなんてできないものね。

しかし、質問内容は小学2年生のものとは思えないくらい的を得てシッカリしたものだった。

①花びらの1枚に蜜標があるが、咲いている向きを見ると蜜標がある花びらが一番上にくるように咲いていることに気づいた。これも虫にわかりやすくするためではないか。

②蜜標を見ていたら、どのつつじもめしべが蜜標の前にぐっとあがってのびていた。これも受粉しやすくするためではないか。

③白いつつじの木にピンクになりかけたつつじを見つけた。これは、白いと蜜標がわかりにくいからはやく虫に見つけてほしいと思った花が色をつけたのでは?

・・・どうです?
すごくないですか?
小学2年生ですよ。8歳か9歳でしょ。

これにアナタならなんて答えますか??

仮にも子供に教える立場として、僕も一生懸命考えて返事を書いた。

①花びらの1枚に蜜標があるが、咲いている向きを見ると蜜標がある花びらが一番上にくるように咲いていることに気づいた。これも虫にわかりやすくするためではないか。

【花咲ジジイ回答】とても良いところに気づきましたね!そうかもしれません。次の質問と関係してきますが、受粉が虫をひきつける目的であれば、花のある特定の場所(めしべ)をピンポイントで虫たちに通過して欲しいというのが植物の願いだと思います。それはつまり身体に花粉をつけた虫がめしべを触って、蜜を求めて花の内部(蜜腺)に達するということで、めしべが上に向かって反り上がっているのと、蜜標の位置が一致するとこれが可能になりますね。

②蜜標を見ていたら、どのつつじもめしべが蜜標の前にぐっとあがってのびていた。これも受粉しやすくするためではないか。

【花咲ジジイ回答】①を参考になさってみてください。それともう一点。2年生にはちょっと難しい概念かもしれませんが、植物たちは優れた子孫を残すために「内輪(うちわ)」で交わるよりも外部の別の花粉で受粉しようとします。これを他家(たか)受粉(じゅふん)といいます。つつじのおしべもめしべもすべて同じ長さ、同じ高さであれば、同じ花のなかで受粉してしまう可能性が高くなります。つつじはこれを避けるためにおしべとめしべの長さを変えているのではないかと想像します。(内輪で交わることを「自家(じか)受粉(じゅふん)」と言います)よってめしべが際立って長く伸び上がっているのかもしれません。

③白いつつじの木にピンクになりかけたつつじを見つけた。これは、白いと蜜標がわかりにくいからはやく虫に見つけてほしいと思った花が色をつけたのでは?

【花咲ジジイ回答】そうかもしれません。人間の目にとって白いつつじの蜜標が見えにくいことは確かですが、虫たちにとってはどうでしょうか?虫たちは人間が見えない紫外光を見ることができるといわれています。つまり人間と虫では見える光の波長が異なるため、白いつつじの花びらも、白いつつじにある人間にとって地味な蜜標も十分アピールしているということになります。
白いつつじの株にピンクのものが混じっているとは良く注意をして見つけたなぁと感心します。普通ならそのまま通り過ぎてしまうでしょう。同じ株で別の色の花が咲く別の例としてオシロイバナがあります。これもなんでそうなるのかは良く分かっていません。今回見つけたつつじは「突然変異」なのかもしれませんね。

以上、あくまでも私見ではありますが、どうにかこうにか回答したつもりであります。

特に③の指摘は、スゴイ発見かもしれない。
こういう発想なかったなぁ。
大いにありうる気がする。

もう、たじたじなんであります。

今どきの安っぽい言葉で言えば「ガチ」なんであります。

でも相手が全力ならこちらも全力で応えなければ失礼というもの。

自分が小学2年生のときは・・・なんて記憶もあまりないくらい頼りない小学2年生だったのに。

才能豊かな、感性豊かな、そんな子供たちと触れ合えることは本当に楽しく、かつやりがいがあることであります。




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