この季節赤や白い花が目を引くのがツバキ(Camellia japonica)。
お茶をたてて頂戴するときに床の間にあるととても絵になる「和」なテイストの花だ。
キレイでカワイイことだけではないのだ、自然界は。
その辺の現実を今日は直視してみたい。
ツバキ、サザンカ、チャノキといったツバキ科の植物を好むのが、その名も「チャドクガ」という毒蛾である。
どんな奴らなのか?
その写真を公開しよう。どうか引かないでいただきたい。
これは昨年の夏に撮ったものなので、今はまだいないのでご安心を。
見ると仲良く一列に並んでムシャムシャと葉っぱを食っている。
この隊列を組むのは習性のようで、なかなかのチームワークと言えよう。
皆がギャル曽根みたいなもんで、ひたすら食って食いまくる。
一枚葉を食い尽くすと、次の葉へと移動し、また食う。
葉が妙に少なくて、枝が目立つツバキを見たら要注意ですゾ。
彼らはこの冬の時期は卵の状態で越冬して、4月頃、春の訪れとともに姿を現す。
大きさは大したことはない(2~3センチ)のだけど、カラダに生えている毛に毒があって触るとかぶれる。アレルギーがある人だとアレルギー反応を起こす。
チャドクガ一匹に50万~600万本(!!)の毒針毛が生えているともいわれているらしい。
この毛は風にのってフワフワと舞うことがあり、毛虫に触った覚えがなくても被害にあうことがある。
毛虫なので、 脱皮 するのだが、中味のないカラッポの「皮」にも毒成分は残っている。
よって、この真冬のシーズン毛虫はウロウロしていないであろう時期であっても、夏に脱皮した皮が残ってるツバキなどを剪定したリするとやられてしまう。
やられると、もう痒くて痒くて発狂しそうになる。
一度エラくやられて、ニッチモサッチもいかなくなり、皮膚科に駆け込んだことがあるのだけど、そこで看護婦さんに状況を説明するために腫れた身体を見せたら、「ヒッ」と息をのんで一歩後ずさられたことを憶えている。
塗り薬、飲み薬などもらったけど、治まるまで1週間くらいかかった。
長袖を着ていても衣服の繊維の間から入ってくるほど毒針毛は細かい。
真夏にこれに対抗すべく、サウナスーツのようないでたちで臨んだことがあるけど、これは暑すぎて別の意味で倒れそうになり、作戦を中止した。
僕が大変お世話になり尊敬してやまない植木職人の親方は、この道が長く身体に抗体が出来ているらしく、涼しい顔で「ウン、ちょっと痒いかな」と意に介さぬ様子。
傷口を舐めて治す野生のオオカミを髣髴させる。
僕が女の子でこんなワイルドな男性が現れたら「グラッ」とくるに違いない。
手入れのために庭に入るときには、まずその庭にツバキ、サザンカなどがないかをみるようになった。
あった場合、さらに目を凝らして、それが食害にあっているかを見る。
食われていなければ大丈夫だが、食われていたら親方がいれば親方に剪定をお願いする。
嫌な顔ひとつせず引き受けてくれる親方に、心の中で手を合わせて感謝する・・・・。
春は待ち遠しいけど、ある意味待ち遠しくない。
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