キューガーデンのなかに園芸学校があります。
これはキューガーデンが独自に運営しているもの。
キューガーデンには「種の保存」「植物展示」などなど様々な目的がありますが、「人財育成」もその大きな目的のひとつです。
そのためにキューガーデンのなかに園芸学校をつくって人財育成をしているというわけであります。
コース名を「Kew Diplopma」といって、全3年のコースです。
僕はここの第41期生として2003年から2006年まで在籍しました。
手前味噌で恐縮ですが、恐らく園芸教育においては最高峰かと思われます。
毎年約15人の学生が入学します。
僕の時は国籍も多彩で、ドイツ、韓国、日本、アイルランド、スペインなど。
他にも南アフリカ、アメリカ、ブラジル、オーストラリアなど世界各国から生徒が集まります。
年齢も10代~40代と幅広く、前職も「教師」「弁護士」などなど色んな人が集まります。
僕も日本人であり、前職は銀行員、年齢も40代でしたが「浮く」ことはまったくありませんでした。
現在はビザの問題があって、非EU国からの学生は受け入れられない状況であるというのはなんとも残念なことです。
入学のための試験も受けなければなりませんが、これも各種実技と一時間にもおよぶ面接、さらには植物同定試験があり、今更ながら良く受かったものだと思います。
1年12か月のうち3か月は学校に缶詰になり勉強をします。
残り9ヶ月は園内の各セクションで働きながら実践を通じてさまざまなことを学びます。
加えて、次から次へと「レポート」が出されるので、それを仕事を終えた後に学校に戻って夜な夜なこなすわけです。
さらに隔週で植物同定試験があり、教室に並べられた植物をみて学名で「科」「属」「品種」「原産国」などをラテン語(学名)で答えねばなりません。
これが延々と続くわけです。
もちろん試験もあります。
というわけで、寝ても覚めても園芸漬けの3年間。
今思えば、よく卒業出来たものだと自分をホメてあげたいくらいです。
そんな「園芸トラの穴」が世界遺産キューガーデンのなかにあるのを知っている人は案外少ないのでは。
久しぶりに園内の学校にも寄ってみました。
ここで徹夜したこと、夜食を買い込んで夜なべしたこと、あるいは休みの日にビールをしこたま買い込んで6ヵ国対抗ラグビーをテレビ観戦したことなど、色んなことを思い出します。
毎年入学すると顔写真を撮り、それが園内に行き渡ります。
「今年のキューディプロマの学生はこんな顔をしているのか」と周知されるわけです。
この顔写真は毎年増えていくことになります。
僕は41期生でしたが、現在の1年生は50期生。
今度の秋に入学する人たちは51期となり、僕が入学してから10年も経つのかと思うとなんとも感慨深くもあります。
毎年15人くらいの少数であることからも、結構みんな覚えていてくれていて園内を歩いていると
「あなたマサヤでしょ」と知らない人から声を掛けられることもあります。
ちなみに最近日本でもよく名前を聴くようになったダン・ピアソン(Dan Pearson)もキューディプロマの卒業生です。
ひっきりなしにヒースロー空港に向かう飛行機の飛び交う空を見上げていると当時となんら変わらない気がするのですが、それでも10年経ったんですねぇ・・・。
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