2012年11月5日月曜日

美味しそうな実


土曜日のブログで発表した代々木公園で拾った実。

いくつ分かりましたか?

中でも右上にあった赤い実が気になった方も多かったのではないでしょうか。

あれはイイギリ Idesia polycarpa という落葉高木。

頭上を見上げれば赤い実がたわわになっているし、地面を見れば房ごとたくさん落ちている。


赤い実がなる理由は目立つことで鳥に見つけてもらって食べてもらうため。

鳥たちは、実が赤くなっていると「熟している=美味しい」と判断して食べにやってくる。

樹木たちはもちろんタダで食べらえるわけではない。

実を食べた鳥たちが飛んで行った先でフンをすることで、消化されなかったタネが親元から離れた場所で根付くことを目的としているのだ、ということを再三書いてきた。

なので樹木たちにとっては
赤く熟す=タネも発芽に向けてスタンバイ完了
というようなタイミングであるともいえるかもしれない。

すぐに発芽しなくても、発芽する潜在能力が備わった状態。

タネによっては発芽する条件が異なる。

発芽に必要なのは適度な湿度(水)、温度、酸素であるといわれている。
それ以外にも場合によっては光など。

光は絶対条件ではないっていうのは意外と感じる人もいるかもしれない。

でも考えてみて。
もやしなんか、暗闇で発芽するわけだから。

しかしものによっては、山火事にあって一旦焼けることで発芽が促されたり、水没することでふやけて発芽が促されたり、タネの周囲が物理的に傷つけられて発芽が促されたりするものがある。

さらに鳥を含めて動物の胃袋は強烈な胃酸に満ちているので、強度の酸にさらされることで発芽が促される場合もあるのだ。

いろいろ工夫してんなぁタネってやつは。


イイギリの赤い実を押しつぶしてみると、中には黒いゴマのようなタネがたくさん入っている。

そう、あとは数の論理で生存競争を勝ち抜くのだ。

沢山タネをつくっておいて、そのうちの数パーセントでも生き残れば、という理屈。

このイイギリの作戦が奏功して、最近はイイギリを見かけることが多くなってきたように思う。

明日は、もっともっと沢山タネを作るモンスターについてご紹介しよう。
お楽しみに。



2 件のコメント:

かい さんのコメント...

しかも糞の肥料のおまけつきですね。
厚遇されています。

しかし植物って凄いですね。
動物も利用しているのが利用されているんですもんね、

花咲ジジイ さんのコメント...

かいさん

コメント有難うございます。

まさに「give and take」ですよね。

散歩をしたり、山歩きをすれば、ズボンの裾にタネが付いていたりするので、我々も植物たちに利用されているんですね。