松に何やら腹巻を巻いてあるのをよく見かけないだろうか?
冬は寒いので、腹巻を巻いての寒さ対策か??
そうではない。
これは こも巻き という。
松につく代表的な害虫であるマツカレハという虫の幼虫が冬の間は地面に降りてきて枯葉の影に隠れてヌクヌクと越冬する性質に目を付けた人が、秋の頃から翌春までこれを松の幹に巻いておいて、春になったらこれを外して燃やしてしまうという駆除方法を思いついた。
地面まで降りなくても、こもの中で十分ヌクヌク越冬するだろう、ということと、地面に至るまでに必ずこのこもを通る、という素晴らしいアイディアである。
どうやら江戸時代の頃から行われてきたらしいので歴史もあるトラディショナル・ジャパニーズの知恵である。
ナント賢い!
まさに一網打尽である。
これで良いのダ! めでたし、めでたし・・・
ではなかった。 残念ながら。
どうやら最近になって、このこも巻きに捕獲される虫は、本来狙っている害虫であるマツカレハの幼虫はほとんど捕まっておらず、マツカレハを捕食するクモやカメムシなどの益虫を多く捕まえているという驚愕の事実が判明したというのだ。
そんなことは最近分かったことで、これまでは肝心の害虫がほとんど捕まっていなくて、守らねばならない益虫をふんだんに捕らえたコモを嬉々として焼いていたというのだから、人間は賢いんだか、そうでないんだか、よく分からない。
一方で、こも巻きの効果を疑って調べた人がいるってわけで、常識を疑え なんていう最近の本屋のビジネスコーナーで見かける惹句を地でいっているなぁと感心してしまう。
でも、じゃぁマツカレハの幼虫はどこにいっちゃったの? どこで越冬してるの? こも巻きはスルーしちゃったの?? という次なる疑問が出てくるのだが、その辺はどうなってんだろう?
今日覚えておいていただきたいのは、松の腹巻はこも巻きという名前であること、本来害虫を捕まえる目的だったが最近の調べでほとんど効果がないことが分かった、という2点である。
でも、殺虫剤に頼らずに害虫を駆除するというオーガニックな発想は素晴らしいし、この江戸時代から伝わるエコ魂・エコ精神を受け継いでいきたいものである。
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