2009年1月25日日曜日

ナマケモノ
    
  
昨日は奇跡のリンゴという本をもとに、土のもつ不思議な力などについて書いた。
  
今日はそれにちょっと付け足そうと思って書いている。
  
植物に良かれと思って、肥料を施したり、水をやったりすることも、度が過ぎるとそれがかえって害になってしまうことがある。
  
今日の写真は2000年に英国北部の街のはずれにある園芸学校にいたときに、授業の一環として育てたソラマメを収穫したときのものだ。
  
学校は夏休みで学校の寮にいた学生はあらかた帰省してしまい、ひとり残った僕は授業で野菜を育てた畑に出かけては収穫をして、新鮮な野菜で食費を浮かせていた。
  
実はそれまで野菜なんて作ったことがなかった。
なにもかも初めての経験だったけど、畑を耕して、種をまいて育てるところから始めてみると、日に日に植物への愛着が増していって、毎日欠かさず自分の畑の様子を見にいくようになった。
  
休みの日も日がな一日畑に繰り出し、雑草を取ったり、水をやったりして面倒をみて、それが終ると畑の横に寝転んで昼寝をしたりしていた。
  
そして収穫。
トマト、インゲン、ソラマメ、レタス、ラディッシュなど生まれて初めて自分が作った野菜を口にしたときに僕の人生観が変わった
それは確かトマトだったと記憶している。一見普通のトマトだったけど、頬張ってみるとあまりのウマさに涙が出そうになるほど感動した。
  
それまでは、「植物なんてよぉ」 なんてちょっと斜に構えていた人生を送ってきたのだけどそれを境にスッカリ目覚めてしまった。
  
写真のソラマメはその当時誰もいなくなった畑に一人で繰り出して、適当に収穫してビールのおつまみにしたときのものだ。
これがまた驚くほど美味かった。
  
ある日僕が足繁く畑に通って水を遣っているのを見た先生が僕に言った。
  
「オマエは毎日畑に通ってエライなぁ。でも覚えておけよ。野菜は本来ナマケモノなのだ。乾きをおぼえる前に水がもらえると分かると怠けて根を張らないのだ。でも水を遣らないとコレはマズイと思って、一生懸命根を張るものなのダ。」
  
そのときはその言葉の意味が100%理解できなかった。
水を遣るタイミングや要領がまだ経験不足による理解不足だったのである。
  
水は遣っておくにこしたことがない、と。
  
そして、昨日紹介した奇跡のリンゴを読んで、あのときの先生の言葉が鮮明に思い出されたのである。
  
そういう目で園芸書を読んでみると、
「根から離れたところに肥料を埋めておくと、吸収するために根が伸びてきます。そうして根が伸びることで、株全体が丈夫に育ちます。肥料をやるのではなく、苗が肥料を食べにくるようにしましょう」
 (はじめよう野菜づくり 井原英子著)
なんてことが書いてあったりもする。
  
ナルホド、ナルホド。
  
植物はナマケモノなのだ。
  
含蓄のある意味深い言葉である。
  
   

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