2011年7月28日木曜日

イタドリの困った問題


イタドリ Fallopia japonica をご存知だろうか?

タデ科のとても強い植物である。
強いというのは、不死身のように生命力が強く、一旦はびこると駆除がなかなかできないという意味だ。

学名で japonica なんてついていることからも日本を原産としていることが分かる。

実はこのイタドリが世界的に大変評判が悪いのである。

学名は上に記したとおりだけど、英語の一般名は Japanese Knotweed という。
ジャパニーズとついた名前で、現地では目の仇にされているので、日本人である僕は聞いていて良い気分にはなれなかった。

そもそも英国では観賞用に持ち込まれたらしいが、その後はあらくれ者の本性を現して英国中を席巻しているのだ。
道路のアスファルトなんかも軽々と突き破ったりもするので、イタドリによる道路補修などの費用が英国では年間数百億円もかかっていると聞いたことがある。

英国ではかなり深刻な社会問題となり、あの手この手でイタドリを駆除しようとしているらしいが、どれもうまくいかない。

業を煮やした挙句に行き着いた方策というのが 「虫に頼る」 という方法。

どういうことかというと、イタドリマダラキジラミというカメムシの仲間のような虫がいて、彼らがイタドリを主食にしているのだ。

イギリスははるばる日本からこのイタドリマダラキジラミを空輸、輸入してイタドリ駆除に当たっているのだという。

そんな外来生物を空輸したら他の生態系になんらかの問題を与えるのではないか?
それは誰でも思うことで、英国政府はこのあたりを慎重に調査・モニターして導入の決定をしたらしい。

そんなわけで厄介な雑草にきくのは農薬ではなく虫であるという意外なお話。


で、この前たまたまイタドリの上に何やら虫がいるのを見た。
しかもイタドリの葉は著しく食害されている。

もしや、これが噂のイタドリマダラキジラミでは??
と思って近寄ってみたのだけど、それはカナブンの仲間のなにかのようであった。

イタドリマダラキジラミはカメムシの仲間ってことで、注射針のような口を茎に差し込んで樹液を吸うわけで、ご覧のように葉っぱを食い散らかすことはないわけだ。
言い換えれば彼らの口は「吸う」ことに特化していて、「齧る」ことはないというわけだ。

樹液を吸って枯らしてしまう・・・。
静かなる暗殺者といったところだろうか。




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