数ヶ月前にある人と出会った。
さる旅行会社に勤める方で、いろいろとお喋りをしていたら
「花咲さん、ツアーに興味はありませんか?」
僕はてっきりツアー参加を聞かれているのだと思って 「はあ、そうですね」 と返事した。
ところが先方の意図は、ツアーを引き連れていかないか ということと知って驚いた。
僕は一匹狼的に色んなところへは行くけど、そんな引率なんて大それたことは考えたこともなかった。
最近は植物や写真に興味を持った人の山歩きも盛んだそうで、植物的切り口はかなりウケるのではないかというのだ。
断るのもなんなので、一度ツアーがどんなものか 「見学」 させてくださいと言ってあった。
その見学ツアーが昨日の山登りだったのだ。
僕は 金魚のフンよろしく、団体にくっついていけば良いのではないか、くらいにしか思っていなかったのだが、あにはからんや。
僕は ツアー添乗員のサブとして参加者の方々に紹介されて手を抜けなくなってしまった。
参加者は18名。
50~60代の方々の女性の方々が中心で、この辺りはこの前出掛けた植物学セミナーの客層と全く同じだった。
引率するのは、添乗員1名、山のガイド1名、そしてオマケの僕1名。
現地に到着すると、皆で輪になって準備体操。
輪になって イチ、ニ、サン、シ・・・ と体操するなんて何十年振りだろうか。
一行は一列に隊列を組んで山を歩くのだが、先頭はガイドの方、最後尾は添乗員の方、そして僕は列のド真ん中。
「真ん中にいて自分の前に常に9名のお客様がいることを確認してください」 と言われて緊張しながら歩いた。
全行程で10キロちょっと。 かなりアップダウンがあった。
皆様健脚である。
ツアーの最後には温泉につかって、さらにビールも飲めるらしい。
でもそれはお客様のことであって、すっかりスタッフ側にまわってしまった僕には叶わないことだと思っていたら、あにはからんや。
「どうぞ温泉につかってください」 と言われて嬉しくなる。
しかし、さすがに湯上りのビールは許されないのだろうと思ってブルーな気分でいると
「缶ビール一本くらいなら良いですよ」
と言われて天にも昇るような気持ちになる。
帰りのバスの中。
朝早くに起きて、山を歩いて、温泉につかって、ビールを飲めば、あとはもう決まっている。
寝たい。
お客様たちはスースーとバスの中で寝ている。
フト添乗員の方を見ると、スッカリ「落ちて」いた。
僕も軽く落ちてみた。
天気にも恵まれたこともあるけど、このツアー決して悪くないと思った。
新宿に行きさえすれば、あとはバスに乗せてくれて、登山口まで連れて行ってくれて、道案内もしてくれて、温泉につかって、ビールを飲んで、寝て、目覚めれば再び新宿である。
そして10000円しないお手頃価格。
唯一の欠点は自分のペース、自分の興味を追求できないこと。
オマエは遊びに行くつもりだったのか! と怒られそうだけど、大きなリュックサックの中には一眼レフカメラ、交換レンズなどの装備に加えて、車中で熟睡するための iPod と首マクラを持って行ったのだ。
ブログネタはゴロゴロ転がっていたのだが、隊列のド真ん中にいるものが、やおらカメラを構えて植物ににじり寄ってコースを外れるわけにはいかない。
そういう点においては、団体行動にすっかり飲み込まれて身動きがとれなくなってしまった。
繰り返しになるが、参加者のほとんどが50~60代。
バスの集合場所であった早朝の新宿駅西口には他のツアーに参加する人たちが沢山いたが、それもほぼ50~60代の人たちだった。
お金的にも、体力的にも一番元気な世代なのだろうか。
添乗員の方も、ガイドの方もとても気さくで、ざっくばらんに色んな話を聞かせてくれた。
ここのにはとても書ききれないほど、色んなことを考えさせられる、貴重で中味の濃い一日でありました。
ピンクの花の写真は、濃いピンクがキレイだったミツバツツジ。
これを撮るのが精一杯だった。
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